新型コロナで日本経済は大打撃を受けているのに… 野党は今こそ現場に乗り込め!
3/14(土) 16:56配信夕刊フジ
新型コロナウイルスの感染拡大が、日本経済に大打撃を与えている。デパートや繁華街は言うに及ばず、新幹線も高速道路もガラガラだ。
【図でみる】「飛沫」の飛ぶ距離の目安
私が最近、話を聞いた住宅設計事務所の経営者によれば、個人住宅の建築がストップしているそうだ。一部でも報じられたが、キッチンやトイレ、バスの供給が完全に止まってしまったからだ。
そうした水回り製品の部品は、ほとんど中国からの輸入に頼っている。ところが、中国の生産が止まっているので、完成品にならない。工事再開の見通しはまったく立っていない、という。
これで打撃を受けているのは、顧客や設計事務所もさることながら、現場で働く作業員たちだ。彼らの多くは日給月給と呼ばれる給与形態なので、仕事がないと、その分は支払われない。
政府は正規、非正規を問わず、1人当たり日額8330円を上限に休業補償する方針を決めているが、彼らの給料は「1日2万4000円程度」が相場という。打撃の大きさが分かるだろう。
建築にとどまらない。中国に部品供給を頼っていた製造業、観光業や飲食・サービスなど幅広い業種に悪影響が広がっている。街の診療所はどうかといえば、こちらも大変だ。「新型コロナウイルスに感染していた」と分かった患者を診察していた近所のクリニックは一時、やむなく休診に追い込まれた。
いくら「致死率は2%程度」などと言われても、根本的な治療法がないのだから、不安は募る。重症化する可能性が高い高齢者は、多くがなにかしらの持病を持っているので、なおさらだ。
事態が好転する見通しは当分、ないどころか、中国より感染が遅れて始まった日本や欧米は、むしろ悪化する可能性が高い。このまま数カ月もすれば、日本と世界の経済は大変な事態になる。
では、どうするか。
感染防止は当然として、いまや景気下支え策が大きな焦点である。なのに、国会は相変わらず「桜を見る会」や、東京高検検事長の定年延長問題を議論している。野党が政府を攻め立てているのだ。
野党が質問すれば、政府は答えないわけにはいかない。そのために、経済政策を含めて新型コロナウイルス対策を考える貴重な時間とリソースが失われていると思うと、歯ぎしりしたくなる。テレビ中継を見ても「何をやってるんだ!」と感じるのが、普通の国民の受け止めだろう。
どうせ、政府を追及するなら「PCR検査やマスクはどうなった」とか、疫病関連でやってほしい。桜問題で役所のシュレッダーまで調べたように、野党は何かと言えば、現場に乗り込むのが大好きだ。
だが、野党議員が保健所や国立感染症研究所を急襲して、検査実態を調べた、という話は聞かない。
ちなみに、検査もマスクの供給もまったく不十分だ。野党が現場で調べれば、国民は注目するに違いない。景気対策は先週、書いたように、歳出拡大より「消費減税」を決断すべきだ。こちらも、野党が後押ししてほしい。
■長谷川幸洋(はせがわ・ゆきひろ) ジャーナリスト。1953年、千葉県生まれ。慶大経済卒、ジョンズホプキンス大学大学院(SAIS)修了。政治や経済、外交・安全保障の問題について、独自情報に基づく解説に定評がある。政府の規制改革会議委員などの公職も務めた。著書『日本国の正体 政治家・官僚・メディア-本当の権力者は誰か』(講談社)で山本七平賞受賞。ユーチューブで「長谷川幸洋と高橋洋一のNEWSチャンネル」配信中。
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