首相ブレーンのNHK改革案「Eテレ売却で受信料は半額にできる」
12/3(木) 7:00配信
高橋洋一・嘉悦大学教授が考えるNHK改革案とは?
NHKが受信料の徴収をさらに強化する方針だという。総務省の有識者会議(公共放送の在り方に関する検討分科会)は11月19日、テレビを持っているのに受信契約に応じない世帯に「割増金」、いわば“罰金”を課す方針を打ち出した。来年1月の通常国会に提出する放送法改正案に盛り込む方針だ。今後、未契約者が契約を結ぶ際に、過去の分まで遡って割り増し料金を払わせる仕組みになる。
そうしたなか、菅義偉首相のブレーンが、大胆なNHK改革案をブチ上げた。内閣官房参与に起用された高橋洋一・嘉悦大学教授だ。
高橋氏は元財務官僚で、霞が関時代には道路公団民営化、政策金融機関改革、郵政民営化などに携わった。菅首相もその大胆な改革プランを生み出す力を評価して内閣官房参与に起用したとみられている。
高橋氏がNHK改革の具体策にあげるのが、教育放送「Eテレ」のチャンネル売却だ。
「NHKの分割・民営化はいっぺんにはできない。まず手をつけるべき改革は、教育チャンネル(Eテレ)の売却です。
いま若い世代を中心にテレビを持たない人が多く、すでに映像はスマホやタブレットで見る時代になっている。これから、どんどんその傾向は強くなっていきます。そうした時代にあって、NHKが経営資源を無駄にしているのがEテレです。全国放送で広い周波数帯を使い、同じ時間帯に原則1番組しか放送できないのに、視聴率が低い。電波という公共資源が有効活用されていない。
そこでEテレのチャンネル(周波数帯)を売却して携帯(通信)用に利用すれば、通話だけではなく、もっと多種多様の映像コンテンツを同時に配信できる。Eテレが占有していた電波の一部を政府のデジタル庁が使えば、確定申告などのサービスにも利用できる。
NHKはEテレにはいい番組があるというかもしれないが、それなら政府がそれを買って配信すればいい。NHKは国会の予算委員会の一部だけテレビ中継しているが、国はすでに国会中継を全部ネットでライブ配信しているわけです。
これほど技術革新が進んでいるのに、視聴率が低い番組をわざわざ電波を占有して放送する発想は時代錯誤。Eテレの電波を通信に再分配したほうが公共のためになるし、NHKの膨張にも歯止めをかけることができる」(高橋氏)
携帯電話システムには500MHz~1GHzの周波数帯が使いやすいとされ、とくに「700MHz~900MHz」は電波がより遠くまで届くプラチナバンドと呼ばれる。
現在、このプラチナバンドに近い「470MHz~710MHz」の周波数帯をNHKと民放の地デジ放送が40チャンネルに分割して利用している。テレビ局で地上波を2チャンネル持っているのはNHKだけ。それを半分に“解体”するプランだ。
「Eテレの電波を売却すれば、NHKの地上波は2チャンネル体制から総合テレビのみの1チャンネル体制になる。チャンネルが半分になるのだから、受信料も半額。地上波契約は月額1275円から600円くらいに値下げをしないと国民は納得しないでしょう。
総務省やNHKは、チャンネルを減らしてもコストは大きく減らないと反論するかもしれない。しかし、財源はあります。
世界では利用度の低い周波数帯を政府が買い上げて、使いたい企業に売る電波オークションが行なわれている。欧米のケースを見ると、日本でも通信に利用しやすい地デジの電波をオークションにかければ数千億円で売れる可能性がある。
売ったお金はNHKに渡せばいい。数千億円が入れば税金を使わずに受信料の引き下げが可能になり、経営スリム化の資金にもなる」(高橋氏)
※週刊ポスト2020年12月11日号
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