2020年04月26日 18:00
2017年06月に放送された『英雄たちの選択 「敗北!白村江の戦い なぜ巨大帝国に挑んだのか?」』というNHK番組のビデオをたまたま見たが、とんでもない“反日歴史捏造番組”だった。
NHK「英雄たちの選択」より
中国の史書である『宋書』には、倭国王が朝鮮半島南部(百済、新羅、任那、伽耶、慕韓、秦韓)諸国への軍事指揮権を求めてきたので、百済を除いて認めたと書いてある。
しかし、番組では、「中国の史書には朝鮮半島についての日本の願望が紹介されている」とし、しかも、中国(南朝の宋)の皇帝が百済以外への軍事指揮権を認めたという肝心のことが隠されて、紹介されなかった。
また、新羅が任那を滅ぼしたのちも、たびたび「任那の調」といわれる一種の潜在主権を認める貢納物を持ってきていたことについても、日本が勝手にそう言う性格のものだと理解していただけとして新羅はそんなつもりはなかったと断言。
NHK「英雄たちの選択」より
もちろん、半島に対する日本の支配権がどの程度、強いものだったかについては議論がある。しかし、中国の史書だけでなく、高句麗の好太王碑にだって百済や新羅への支配権を巡って高句麗と日本が熾烈な戦いをしたと書いてある。
『日本書紀』は8世紀に成立したものだが、そこには当時における日本側の外交的主張が書かれていて、それは唐や新羅などにも見せられているものだから、完全に正確でなくとも、荒唐無稽とは言えないと見るべきだ。
しかし、それをすべて忘れても、『宋書』に中国側も日本の主張の大半を認めたと書いてあるのは、100%間違いない事実なのである。それすら、韓国に配慮して隠そうというこの番組の出演者の浅ましい媚韓反日ぶりにはあきれはてるというか、学者としての誇りも何もない単なる政治的プロパガンダがお仕事としか言いようがあるまい。
また、この番組を制作したNHKの見識もお話にならない。以前からネットで揶揄されるような「北京電視台東京支局」だとか「KBS東京支局」そのものではないか。
任那のくだりにしても、もちろん、新羅はそれが潜在主権を認めたものとは公式に認めはしないだろうが、日本が執拗に要求していたことが、そういう意図であることを知らなかった可能性などない。だからこそ、それを貢納したり、しなかったり、その時々の情勢に応じて変えていたのである。それを新羅はそんなこと全然知らなかったというのも飽きれたものだ。
また、任那という言葉は口が裂けても使いたくないらしく、加耶(かや)で通していた。
NHK「英雄たちの選択」より
『日本書紀』に書かれていることは、神代についての部分はあくまでも神話だ。しかし、4世紀から8世紀の半島に関するやりとりは、当時の日本の外交的主張であるし、それを現在の日本国家が引っ込めたとも聞いてない。中東を見ても分かる通り、外交戦は何千年前のことであっても持ち出して戦うものだ。それをNHKと場合によっては文部科学省が後ろから討つような真似は許されないだろう。
それはまことに、国際感覚に欠如した行いだ。そしてそんなものは、リベラルでも左翼でも何でもなく、韓国の国粋主義者に媚びているだけだ。だから、私はかれらを『変態右翼』と呼んでいる。
なお、当該番組についてNHK自身の解説は以下の通り。
磯田道史が興奮!今回は古代史の大きな謎に迫る。▽九州で見つかった巨大な土塁は、太宰府をまもる“羅城(らじょう)”の一部なのか?羅城とは、外敵に備え、都市全体を取り囲んだ防御施設のこと。▽作られた背景には、白村江の戦いがあると考えられる。なぜ時のリーダー中大兄皇子は、巨大帝国・唐に戦いを挑んだのか?無謀にも思える選択の裏には、どんな戦略や計算があったのか?そして、戦いがその後の日本に与えた影響とは?
スタジオでの出演者(肩書きは当時)は、磯田道史(国際日本文化研究センター)渡邊佐和子(NHKアナウンサー)園村昌弘(映画評論家)倉本一宏(国際日本文化研究センター)萱野稔人(津田塾大学)の各氏だった。
365日でわかる世界史 世界200カ国の歴史を「読む事典」八幡和郎清談社Publico2020-04-12
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