安倍首相を叩く「アベノセイダーズ」が、民主主義を捨て全体主義に走る理由

5/22(金) 7:01配信現代ビジネス
安倍首相を叩く「アベノセイダーズ」が、民主主義を捨て全体主義に走る理由

「アベノセイダーズ」が求めているのは悪魔の証明
 モリ・カケ問題から始まって、サクラの会、さらには最近の「検察庁法改正案」に至るまで、何でもかんでも安倍首相のせいにして「疑惑追及」を繰り返すアベノセイダ―ズの皆様方の執着心には驚かされる。

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 もちろん、健全な政策論議・政権の責任追及はどんどん行うべきものである。しかし、アベノセイダ―ズが行っている「疑惑追及」なるものの正体は、一般的に「悪魔の証明の要求」と呼ばれる無意味なものに過ぎない。

 例えば、ある日突然検察(警察)が、あなたの家に踏み込む。もちろん、あなたに身に覚えはない。しかし、検察(警察)は、「疑惑」(警察・検察に証拠はない)があるから、「あなた自身で証拠を見つけてその疑惑を晴らさなければならない」と主張する。

 例えば、殺人犯である証拠は、使用された包丁にあなたの指紋がついている、あるいは被害者の体についていた毛髪からあなたのDNAが発見されるなどのケースが具体的に例示できる。

 しかし、一度犯人であると検察(警察)の見込み捜査の対象になってしまえば、無実であることを証明することは難しい。

 言い換えれば、「緑色の宇宙人は存在する」ことを証明するには「その宇宙人をみんなに紹介」すれば事足りるが、「そんなはずはない」ということを証明するには、無限に存在する「緑色の宇宙人が存在する可能性のあるケースをすべて否定する」という不可能に思われることをしなければならない。「悪魔の証明」と言われるゆえんである。

 読者が、検察(警察)からいきなりそんなことを証明しろと言われたら、大変な災難であるはずだ。

見込み捜査が冤罪を生み費用は国民が負担する
 検察(警察)の見込み捜査で、無実の人々が逮捕され、拷問に近い取り調べで虚偽の自白をさせられてきたことは、検察(警察)という独裁権力の汚点だ。

 もちろん、最近では改善の兆しは見えるが、検察の横暴による冤罪事件(表面化しているだけでは無く、無実の罪で死刑判決を受けた人々は多いものと推察される)を始めとする権力の暴走を防ぐためにも「国民の選挙で選ばれた国会議員」(内閣)による監視は必要不可欠だ。

 例えば、カルロス・ゴーンをルパン3世に登場する銭型警部のように間抜けに取り逃がした責任はきちんととったのだろうか? 検察に自浄作用が無いことを示す好例だ。

 特定野党を含むアベノセイダーズが行っているのは、まさに検察(警察)の証拠なしの見込み捜査のようなものである。オールドメディアも含めてあれほど大騒ぎしたのに「決定的証拠」が出てこないのがその「証拠」といえよう。

 しかも、その見込み捜査による空騒ぎの国会運営費などのコストは、国民の血税から支払われるのである。特に特定野党の政権への攻撃は、嫌がらせのために裁判に訴える「スラップ訴訟」であるとさえ思える。

 それだけではない。「悪魔の証明」に無駄な時間を費やさなければならないおかげで、政権・政府が本来行うべきことが妨害される。

 今回の中共(武漢)肺炎対策においても、5月16日の記事「歪んだ日本のPCR検査信仰、死者・感染者が少ないのには理由がある」で述べた様に、政府の方針は概ね正しく(共産主義中国からの入国禁止が遅れたのは失策であったが、結果的にはリカバリーしている)、政権打倒を目指すアベノセイダ=ズの「批判ありき」の言動が、正しい対応をゆがめていることが最大の問題である。

 政権批判が出来なければ民主主義は成り立たないが、アベノセイダーズのような批判ありきで、「自分の利益だけを考え、国民全体の幸福を考えない主張」は、むしろ民主主義を崩壊させ、独裁政治を招く。

ナチスはドイツの困窮をユダヤ人のせいにした
 私が懸念するのは、「何事も安倍政権のせいにして自らは何もしない態度が蔓延すること」である。

 JFK(ジョン・F・ケネディ)がかつて冷戦時代に「国家が国民のために何をしてくれるのかを考えるのではない。国民が国家のために何ができるかを考えて欲しい」という言葉を述べたが、この言葉を今また繰り返したい。

 確かに「自己責任」をとるということは大変なことで、「他人のせい」にするのは簡単だ。しかし、安易な道に流された国家は滅亡する。

 例えば、ナチスは当初それほど反ユダヤ主義ではなかった(ヒットラー自身にユダヤ人の血が流れているという驚くべき説もある……)が、第1次世界大戦後に「ドイツが苦境に陥ったのはユダヤ人のせいだ」と主張したところ、国民の絶大な支持を受けたのでエスカレートしたのだ。

 また、朝鮮半島や中国大陸の国々も同じである。「自分たちがひどい状況で苦しんでいるのは、日本人が悪いんだ」という主張は、自国民に受けがよく、しかも自らの政府のだらしなさを覆い隠すことができるから、止まらなくなったのである。

 日本人は賢明だから、外国人(政府)のせいにすることはない(むしろ外国人〈政府〉の言うことをうのみにしている……)が、その代わり安倍政権のせいにしている。

 また、安倍首相個人や夫人への人格攻撃が目立つが、「人格攻撃」は概ね議論の最終段階で登場する。議論で勝てない「負け組」が、最終手段として「人格攻撃」を行うのである。

 子供の口げんかで、やり込められた方が「バーカ、お前のかあちゃんでべそ」と言うようなものである。

 最初から「安倍死ね」などと言っているアベノセイダーズは、議論において白旗を上げているのも同然だ。

民主主義は最低のシステムだが……
 英国宰相ウィンストン・チャーチルの有名な言葉に「民主主義は最低のシステムだ。ただし、これまで存在したあらゆる政治システムを除けばだが……」というものがある。

 これに倣って私の安倍政権に対する見方を述べれば「安倍政権は最低だ。ただし。これまで存在したあらゆる政権を除けばだが……」ということになる。

 もちろん、「すべての未来の首相候補も除けばだが……」でもある。

 何よりも、民主主義における政府(政権)は国民の多数派によって選ばれているのであり尊重すべきである。したがって、国民の幸福を増進させる政策に我々は協力すべきだ。

 国民が最も真剣に考えるべきなのは「誰に投票すべきか」を判断する選挙の時であり(投票していなければもともと発言権がない)、その結果選ばれた政権(首相選任は直接選挙ではないが、選挙の結果生まれた最大政党が選ぶ)には国民全体の幸福のため協力すべきである。

 特定野党もそうだが、オールドメディアがひたすら安倍政権をたたくさまは、まるで「『安倍政権』によって日本人が幸せになると都合が悪い」ようにさえ見える。もちろん、日本のような豊かで洗練された国を暴力で制圧(転覆)したい勢力や、侵略を虎視眈々と狙っている国々にとっては、日本の政治が混乱したほうが都合が良いのだが……

 過去、オールドメディアが持ち上げてきた人物にはろくな人間がいなかったから、逆にオールドメディアが執拗にたたく安倍首相は「もしかしたら、日本史に残る傑出したリーダーではないか」とさえ思える。

バカ殿は日本のリーダーの鏡か?
 日本人にこよなく愛された志村けん氏の中共(武漢)肺炎による死は多くの人々に衝撃を与えた。同氏を含めた中共(武漢)肺炎の犠牲者のご冥福を祈る。

 志村氏の当たり役の「バカ殿」は誰もが知るキャラクターで、人々を爆笑の渦に巻き込む。

 このキャラクターが日本人にうけるのは、ある意味「日本人の理想のリーダー像」を暗示しているからではないかと思う。

 バカ殿が? と驚かれる読者も多いかと思うが、論点は次の3つである。

 1.日本人の民度(平均的日本人の能力・モラル)は世界トップクラスだ
2.民度の高い国民に強力なリーダーシップ(独裁)は必要ない
3.民度の低い国民には強力なリーダー(独裁者)が必要である。

 江戸時代の将軍は、基本的に老中の意見を無視できなかったし、日本型経営の重要な要素に「おみこし型経営」がある。「おみこし型経営」とは、担がれる上司が(実務においては)ほとんど何もしないで担ぐ優秀な部下が事業を取り仕切るやり方である。

 これは、日本のように中間層の能力が優れている上にモラルも高い国では極めて有効な戦略である。

 逆に言えば、日本と違って中間層の能力が残念な状態でモラルも低い国では、一部のエリートが強力なリーダーシップ(独裁)でまとめなければならないといえる。

民度が低い国には強力なリーダーシップが必要だ
 各国首脳のリーダーシップばかりに注目が集まるが、強力なリーダーシップが必要な国というのは、要するに民度が低いのだ。

 「要請」だけで中共(武漢)肺炎対策が可能な素晴らしく民度の高い日本のような国に、強力なリーダーシップは必要ない。

 東日本大震災の時に、緊急避難した多くの顧客が後に「未払いの飲食代金を払いに戻ってきた」事実は、世界の人々を驚嘆させた。これほどモラルが高い国(一部の不心得者はいるが……)は世界が広いといえども日本だけだ。

 別に、安倍首相がバカ殿だと言いたいわけではない。しかし、悪意を持った優秀な政治家よりも、悪意の無い無能な政治家の方がはるかにましである。ましてや、現在の後継首相候補たちは、能力が安倍首相より低いのに悪意は一流であるように思える。

 演説のうまいへたとか、強力なリーダーシップという点で言えば、アドルフ・ヒットラーの右に出るものはいないはずだ。最近の「指導者は完全無欠でなければいけない」という風潮は「暗い独裁の時代」を呼び起こす可能性がある。

 全体主義国家は、指導者が完全無欠という前提で、独裁を行うから悲惨な結果を招く。民主主義は、指導者が民衆の中から選ばれ、我々と同じように「並みの人間」で欠点があるからこそ素晴らしい政治ができるのだということを忘れるべきでは無い。さもなくば、恐ろしい結果を招く。

 重箱の隅をつつく政権批判が、「指導者は完全無欠という幻想を振りまく全体主義」の台頭を招くとしたら、これほど恐ろしいことはない。

 北朝鮮の指導者である金正恩氏の父親である金正日氏は、18ホールを11のホールインワンを含む34のスコアで回った「完全無欠のゴルフプレイヤ―」だと報道されたことがあったが、まさに「独裁の象徴」である。念のため、PGAツアーのベストスコアは59であり、タイガーウッズの自己ベストは61である。

大原 浩(国際投資アナリスト)

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