日本人初の快挙「10万個の子宮」~あの激しいけいれんは子宮頸がんワクチンの副反応なのか~ ジョン・マドックス賞受賞作品 村中璃子スピーチ全文

「10万個の子宮」 ジョン・マドックス賞受賞作品スピーチ全文

2017.11.30, London

世界では毎年、53万人が子宮頸がんと診断され、27万の命が失われている。
現在では子宮頸がんを防ぐワクチンがあり、世界130カ国以上で使われているというのに。
 
しかし、近い将来、ワクチン接種率の高い国では、子宮頸がんは歴史の本でしか見つからない過去の病気となるだろう。

けれども、その道のりは決して簡単ではない。

2013年4月、子宮頸がんワクチンは日本でも定期接種となった。ところが、それから2か月後、日本政府はこのワクチンを定期接種に定めたまま積極的接種勧奨を「一時的に」差し控えるという奇妙な政策決定を下した。けいれんする、歩けない、記憶力や成績が落ちた、不登校になったなどという訴えが相次いだためだ。

脳波に異常のない「偽発作」に代表されるように、小児科医たちは思春期の子どものこういう症状は、子宮頸がんワクチンが世に現れる前からいくらでも見てきたと言った。厚生労働省の副反応検討部会も、副反応だと訴えられている症状は、ほぼ間違いなく身体表現性のものだろうという評価を下していた。

親たちは娘のけいれんする姿や車椅子姿を携帯電話やスマートフォンで撮影し、インターネットに投稿した。メディアからの取材にも積極的だった。大多数のまっとうな医者たちは「心ない医者に、心の問題だと言われた」などと激しく批判されて面倒になり、みんな黙ってしまった。

世界中どの国でも新しいワクチンが導入されればそれに反対する人は必ず出てくる。しかし、日本には、他の国にはない厄介なことが2つあった。ひとつは、政府がサイエンスよりも感情を優先した政策を取ったこと。もうひとつは、わざわざ病名まで作って、子宮頸がんワクチンによって引き起こされたという薬害を唱える医者たちが登場したことだ。

その名はHANS(ハンス)、子宮頸がんワクチン関連免疫異常症候群。HANSを唱える医師たちの主張は、患者の訴えと印象に基づいており、決して、エビデンスを示すことはなかった。代わりに、エビデンスを示せないのは、現代医学が十分ではないからだと糾弾した。しかもHANSは「ワクチン接種から何か月、何年経っても起き」「消えてもまた現れ、一度なったら決して治らない」のだという。

昨今、科学的根拠に乏しいオルタナティブファクトが、専門的な知識をもたない人たちの不安に寄り添うように広がっている。私は医師として、守れる命や助かるはずの命を危険にさらす言説を見過ごすことはできない。書き手として、広く真実を伝えなければならない。これが、メディアに執筆を始めたきっかけである。

子宮頸がんワクチン問題は、エボラ出血熱から水素水まで、私が取り扱ったさまざまなテーマのひとつに過ぎない。この問題が、原子力爆弾のように何千・何万もの人々の命を危険にしていると気づいたのは、1本目の記事を出してからのことだ。私はただ真実を書いてきただけであり、このワクチンを推奨するために書いたことは一度もない。

最初の記事がビジネス誌「Wedge」の誌面とオンラインに掲載されたのは2015年10月だった。この記事は文字どおり数百万の人々に読まれ、子宮頸がんワクチンの安全性に関する議論を再開させるきっかけとなった。その後も私は取材、調査を続け、このテーマで20本以上の記事を発表した。

メディアを通じて、子宮頸がんワクチンの危険性を煽るミスリーディングな映像とストーリーが日本社会に広まっていったある日、厚労省が指定した子宮頸がんワクチン副反応研究班の主任研究者で信州大学の元教授だった神経内科学医、池田修一氏が、厚労省の成果発表会である衝撃的なマウス実験の結果を発表した。池田氏は当時、信州大学の副学長で医学部長を務めていた人物である。

池田氏は「子宮頸がんワクチン」と書かれたマウスの脳切片だけが緑に光る、白い円でその部分を強調した画像を見せながらこう言った。

「明らかに脳に障害が起きている。子宮頸がんワクチンを打った後、脳障害を訴えている少女たちに共通した客観的所見が提示されている」

池田氏によれば、インフルエンザワクチン、B型肝炎ワクチン、子宮頸がんワクチンをそれぞれマウスに接種して10か月後に脳を観察したところ、子宮頸がんワクチンを打ったマウスの脳だけに異常な自己抗体が「沈着」したという。池田氏のこの発表は、夜の人気ニュース番組でも放送された。

それから2週間後の3月末、子宮頸がんワクチンの被害を訴える人たちが、日本政府とワクチン製造企業を相手取った集団提訴を予告する記者会見を行った。日本政府は、積極的接種勧奨の「一時的」差し控えを継続。そして、「一時的」が3年にも及んだ昨年7月27日、日本政府は世界初の子宮頸がんワクチンによるものだという被害に対する国家賠償請求訴訟を起こされた。

数か月にわたる調査の末、私はマウス実験をデザインし、実施した研究者を探しだした。研究者は私に、池田氏が発表した脳切片は、実はワクチンを打っていないマウスの脳切片だと語った。ワクチンを打ったのは、数か月の加齢だけで自己抗体が自然にできる非常に特殊な遺伝子改変マウスだった。このマウスから、自己抗体たっぷりの血清を採り、別の正常マウスの脳切片にふりかけ、写真を撮ったという。

用いたマウスの数は、各ワクチンについて「マウス1匹」。投与したワクチンはヒトへの投与量の100倍だった。

私は池田氏が発表したこの実験を「捏造」と書いた。

池田氏は「他の研究者がつくったスライドセットから1枚のスライドを引用しただけなので、捏造とは名誉棄損である」といって私を訴えてきた。池田氏の弁護士は「争点は、子宮頸がんワクチンの科学の問題ではなく、捏造という表現の問題だ」と主張した。池田氏の弁護士は、日本における主要薬害訴訟で原告側に立ち、中心的な役割を果たしたことで有名な人物である。

被害者団体の行動は非常にプロフェッショナルだった。抗議の行き先はメディアの編集部ばかりではなかった。時には出版社の株主の社長室であり、時には株主の会社に影響力のある政治家のところだった。元東京都知事の娘で被害者団体と親しいNHKプロデューサーは、私の住所や職場や家族構成を知ろうと熱心だった。私と家族には山のような脅迫のメッセージが届いた。

メディアは、私を使うのを止めた。連載はすべて打ち切られた。刊行日が公表され、著者近影の撮影も終わり、表紙と帯までできていた書籍の刊行も中止となった。その後、日本を代表する8つの出版社に刊行を打診したが、すべての出版社が同じことを言った。

「非常によく書けた、読み応えのある作品です。でも、今はわが社からは刊行できません」

日本では毎年、3000の命と1万の子宮が失われている。

母校北海道大学で講演をした際、ひとりの若い産婦人科医が私にこう尋ねた。

——僕たちだけあとどのくらい子宮を掘り続ければいいんですか。
子宮を「掘る」、すなわち子宮を摘出するという意味だ。

日本では国家賠償請求訴訟が終わるまでには10年を要すると言われる。また、訴訟が終わるまで、接種再開を決断できる首相や官僚は出ないだろうとも言われる。よって、もし子宮頸がんワクチン接種再開まであと10年を待つ必要があるとすれば、日本人の産婦人科医は、いったいいくつの子宮を掘りだせばいいのだろうか。

答えは「10万個」だ。

掘り出した10万個の子宮を想像してほしい。その持ち主である女性たち、そこから生まれ母を失った子どもたちを。そこから生まれてくるはずだった子どもたちを。

一方、私の古巣でもある、世界保健機関(WHO)のワクチンの安全性に関する諮問委員会GACVSは、今年7月に出した子宮頸がんワクチンに関する最新の安全性評価をこう結んでいる。

“科学的分析とは裏腹に、世界では症例観察に基づく誤った報告や根拠のない主張が注目を集めている。合理的根拠に乏しい主張によって接種率の低下する国が増え、実害をもたらしていることに対し、委員会は引き続き懸念を表明する。今後もモニタリングを続け、大規模データの解析を通じてワクチンへの信頼を維持していくことが大切だが、その過程で結論を焦り、文脈を無視した、確たるエビデンスのないアーチファクト(二次的な事象)が観察されることがある。これこそが「挑戦」だ”

長く大変な道のりだった。しかし、私は今日、このような素晴らしい賞を受賞することができた。私はこの2017年ジョン・マドックス賞を与えられたという事実を、こうした子宮頚がんワクチンをめぐるアーチファクトやオルタナティブファクトに対し、世界中で行われている挑戦の象徴として受け止めている。

しかしながら、この場を借りて1つだけお願いしたいことがある。今週に入ってから、9番目に話をした出版社である平凡社から、本の刊行を決定したという連絡をもらった。本はできている。私の夢はこの本が、世界中の病院やクリニックの待合室に置かれて読まれることである。ぜひ海外の版元にも、この本の翻訳・刊行をお願いしたい。本のタイトルは「10万個の子宮」という。

推薦してくれた日本産婦人科医会の木下勝之先生、石渡勇先生、北海道大学小児科の有賀正先生、国立成育医療センターの五十嵐隆先生に感謝します。私を信じてくれた京都大学医学研究科の本庶佑先生、松田文彦先生、ウェッジ元編集長の大江紀洋さんと、私の次の仕事を辛抱強く待っていてくれる読者の皆さんに感謝します。そして、何よりも、私の不在と上の空に耐え支えてくれた家族と、このような形で私に名誉を与えてくれたジョン・マドックス賞関係者の皆さんに心からの感謝の意を表します。

本日はこのような名誉ある賞をいただき、本当にありがとうございました。

© 2017 Riko Muranaka

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  1. FREE SEX 文化を根ずかせる ロックフェラーたち 薬で儲ける方達の 策略を感じます。
     子宮頸がんワクチンをすれば大丈夫!!! じゃーーー梅毒は エイズは ?????
     彼女が センザンコウが今回のコロナの元凶だと発言した時点で ロックフェラーの裏を感じ ウイルス兵器でないという時点で????
     背後の 中国 国連ではない アメリカ側の意図が見受けられます。
     愛量破壊兵器でない ウイルス兵器がもれることを すでに 2010年代から 流れていたことと
    文鮮明 真のお父様の発言どうり アジアも 韓国も無くなる!!! と言う内容や 最後はトンコレラのようなウイルスで人は死んでいくという内容からして
    韓鶴子の判断ミス 韓部の判断ミスが 世界を混乱させていく内容を見ます。
    今の現実を見て 子宮頸がんがどうのこうの言う時点で シーナアンドロケットのシーナさんやザード ボーカル 飯島愛さんなどを見ても その流れで亡くなられたことが理解できます。
     村中さんの背後は 異常さを感じます。

    • 愚直

    コメントありがとうございます。
    正直私はこの子宮頸がんワクチンに関して勉強不足でよくわかっていません。
    子宮頸がんワクチンに関しては以前教会で、子宮頸がんワクチンは副作用があって危険なんだという話を聞き、無批判的にその内容を信じ、今に至るまで危険なものだと信じてきました。
    しかし2月18日の虎ノ門ニュースを見て、自分の認識不足を知り、考えを180度転換し、この内容はより多くの人たちに知っていただけなければいけない内容だと思い、ブログに村中璃子氏の記事を転載した次第です。
    2月18日 虎ノ門ニュース 
     https://www.youtube.com/watch?v=WxJL8WUz_aU&t=3259s

    村中璃子氏が虎ノ門ニュースに出演する際にも、レギュラーコメンテーターの百田尚樹氏に、とある市議会議員から村中璃子氏に対する批判的な内容のメールが送られてきたそうです。
    今現在、一般マスコミをはじめとして、多くの日本人は子宮頸がんワクチンは危険だと信じ込み、村中璃子氏やその家族までもが誹謗中傷を受けているそうですが、それに対して村中璃子氏は毅然と立ち向かい、どんなに誹謗中傷されても真実を伝えようと、子宮頸がんワクチンの必要性を訴え、ただ一人取材を続け、書き上げた書籍が『「10万個の子宮」~あの激しいけいれんは子宮頸がんワクチンの副反応なのか~』なのです。
    この書籍は日本人で初めて「ジョン・マドックス賞」を受賞しましたが、この賞は「公共の利益に関わる問題について健全な科学とエビデンスを広めるために、障害や敵意にさらされながらも貢献した個人に与えられる、2012年に始まった国際的な賞」だそうです。
    私は未だにこの件に関しては勉強不足で、森さんが語られるような内容に関してはよく理解できていません。
    もしよろしければ2月18日の虎ノ門ニュースをご覧いただいて、村中璃子氏や子宮頸がんワクチンに関して、何が問題なのかご教示いただければ幸いです。

  2. 寅ノ門ニュースは見ました。
    彼女は 元WHOの職員で WHOの問題を説明されていたのは良いのですが
     先進国という国々は フリーセックスがある程度容認されており 乱れた地域ともいえます。
    日本も 私の家族の周りでも 近親相姦やフリーセックスが蔓延しており
     子宮頸がんワクチンは 乱れた都会には重要かなと感じます。
    しかし 彼女の背後を見ると 医薬品会社かなと感じます。
    特に ウイルス兵器は意味が無い と言出だした時点で アメリカか 中国を擁護していることを感じます。
     アメリカで保存していたウイルスを 中国が盗み 動物実験して その動物を 売却し食べたものが蔓延させた と言うのが筋であり
    アメリカ 中国が ウイルス兵器という内容を隠して 日本の客船問題で 情報を拡散していることを 感じます。
     武漢肺炎が蔓延している中 彼女は ただ上の指示で 混乱させていると感じます。
    百田さんも 普通の方も フリーセックス容認派です。
     ときでないときに時のことをしている と言うことです。
     子供が不特定多数の異性と関係を持つ もしくは AV 売春をするだろうと感じる家庭は すぐにでもうつべきであると感じます。

    • 愚直

    真摯なるコメントありがとうございます。
    子宮頸がんワクチンに対する偏見のため、本来ならば救われた命を失ってしまったケースは数知れずあったのだと思います。
    もちろんその原因の一つがフリーセックス等性の乱れにあるという現実は否めないでしょう。
    しかしこの世の性の乱れに関して、正すことのできる唯一の希望が、本来は我々の教会にあったはずです。
    我々教会が本来の使命を果たせなかった一つの結果として、今日のフリーセックス問題もあり、中国を代表とした共産主義の脅威の問題もあり、国際金融資本等の暗躍の問題もあります。

    私には村中璃子氏の背景はわかりませんが、少なくとも子宮頸がんワクチンに対する偏見を取り除き、多くの貴い命を救うために、言われなき誹謗中傷に耐えながら、正義を貫こうと孤独な戦いをしてきた村中璃子氏に感動を覚えますし、微力ながらも村中璃子氏の活動を世に知らしめ、子宮頸がんワクチンに対する偏見を無くしたいと思っています。

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