専門家が解説、卵の健康メリット 6つ

7/5(日) 8:16配信

専門家が解説、卵の健康メリット 6つ

最近、専門家の間でなにかと話題になっている “卵”。

「米国農務省(USDA)」がまとめたアメリカ人向けの食生活指針では、卵は優れた食物たんぱく源とされている。けれど2019年に「アメリカ医師会誌」に掲載された研究では、なんと “卵が心臓病リスクの増加や寿命の短縮に関係している” という。

とはいえ、これはかなりの量を消費していた場合の話だとか。毎日3,4個以上の卵を食べていないかぎり、過度に気にする必要はないみたい。

どの家庭にも常備されている卵は、たんぱく質だけでなくビタミンA、ビタミンD、ビタミンB12も豊富で、あまり知られていないコリンという栄養素も含んでいる。値段も安くて何にでも使える食材だからこそ、コレステロールや飽和脂肪についての誤解には惑わされず、朝食やブランチ、ディナーで広く楽しみたい。
 
ということで、専門家が卵の健康メリットを詳しく解説してくれた。卵にまつわる基本の知識と疑問をまるごとご紹介!

卵の栄養成分
Photo: Getty Images

「米国農務省」による、Lサイズの卵1個分の栄養成分はこちら。
 
・ エネルギー 72kcal
・ 炭水化物 0g
・ たんぱく質 6g
・ 脂質 5g
・ 飽和脂肪 1.5g(1日の摂取量の8%)
・ 食物繊維 0g
・ 糖質 0g
・ カリウム 69mg(1日の摂取量の1%)
・ マグネシウム 6mg(1日の摂取量の1%)
・ カルシウム 28mg
・ 鉄 0.8mg(1日の摂取量の3%)
・ リン 99mg
・ ビタミンB6 0.08mg(1日の摂取量の5%)
・ ビタミンB12 0.45mcg(1日の摂取量の10%)
・ ビタミンA 270IU
・ ビタミンD 41IU(1日の摂取量の11%)

卵の健康メリットその1. 脳の健康を高める
Photo: Getty Images

教えてくれたのは、ミズーリ大学のヘルスケアシステムで、重症肥満部門を担当しているミッシェル・ホーイン・ボーチェさん(理学修士、登録管理栄養士)。記憶や気分、筋肉のコントロールを健全に行うための必須栄養素であるコリンが、卵に豊富に含まれているという。
 
「コリンはビタミンB群に含まれる栄養素のひとつですが、昔からあるほかの栄養素と比べると、わりと近年になってから研究されるようになりました」とボーチェさん。
「卵を通じてコリンを摂取することで、循環器疾患や認知症といった初期の脳機能障害、脂肪肝などを予防できると言われています」
 
けれど、サプリメントを摂るだけではコリンのパワーは享受できないらしい。コリン自体には、上記のような疾患予防効果はあまり期待できないという研究者もいる。
ボーチェさんいわく、「ほとんどの栄養素は単体ではなく、ほかの栄養素との相乗効果によってパワーを発揮できるからなのです」ということだそう。
 
一番のおすすめは、コリンが豊富な食物を何種類かキッチンに常備しておいて、ローテーションで日常的に食べるという方法。卵以外では、乳製品も優れたコリンの供給源だ。ほかにも牛レバー、しいたけ、脂ののった鮭、豆類やマメ科の野菜、アブラナ科の野菜などを少しずつ摂取するといいそう。

卵の健康メリットその2. 妊婦の体を守る
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妊娠期間中にコリンを摂取することは、胎児の脳の発達や先天性疾患の予防のためにとても重要なよう。
 
「研究では、妊娠中の女性の90%近くが、十分な量のコリンを摂取していないと言われています」とボーチェさんは語る。
 
さらに臨床研究では、妊娠中に900mg以上(1日に推奨摂取量の2倍)のコリンを摂取した女性の子供は、成長の過程で認知発達度が増すことが分かったという。ラージサイズの卵2個で、妊娠中の女性に必要とされるコリン摂取量の50%以上を摂ることができる。
 
「ほとんどの人が葉酸には神経管欠損症を防ぐ役割があると知っていますが、実はコリンも葉酸同様、細胞膜と神経伝達物質の合成という重要な役割を果たしているのです」
 
ビタミンB12もまた、赤血球形成や神経機能、DNA合成に欠かせない必須栄養素。ビタミンB12は動物性の食品にのみ含まれているので、オボベジタリアンの人にとって卵はビタミンB12の良い補給源になる。

卵の健康メリットその3. 長期間で減量するときの助けとなる
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たんぱく質を多く含む食事を摂ると満腹感が長く続くことが、研究で分かっている。
 
2004年に「アメリカ栄養学会誌」に掲載された論文によると、食事でたんぱく質が豊富な食品(もちろん卵も!)を食べると、たとえほかの栄養素より摂取量が少なかったとしても、腹持ちがいちばん良くなるという。
 
さらに卵のように脂肪分の少ないたんぱく質は、高脂肪な肉や鶏肉などに比べて低カロリーなのだ。

卵の健康メリットその4. 視力や目の健康を保つ
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卵にはまた、果物や野菜に含まれる “カロテノイド” という重要な化合物が含まれている。登録栄養士でワシントン大学栄養学科で講師を務めるアン・マリー・グロスター博士によれば、カロテノイドには長期間摂取することで免疫システムを高める効果があるという。
 
「カルテノイドは、果物や野菜を黄色やオレンジ、赤色にする天然の色素群です」とグロスター博士。卵には “キサントフィル” というカロテノイド由来の色素が含まれているそう。
 
「カルテノイドが豊富な卵には、“ルテイン” と “ゼアキサンチン” という2種類のキサントフィルが含まれています。これらは食品を黄色くする色素で、卵の黄身の部分に含まれています。黄身の色は、鶏の食べるえさのカロチン含有量によって変わります」
 
そして、卵に含まれるこのルテインとゼアキサンチンには、目の健康を保つ役割があるのだとか。2019年に発表された研究によると、ルテインはとくに子供にも大人にも認知力に影響を与えることが分かった。
 
さらにこれらの色素には、コンピューターやテレビ画面から放出されるブルーライトを遮って目を守る自然のフィルター効果があると、グロスター博士は説明する。またキサントフィルには、老齢になったときの視力の悪化や白内障を防ぐ働きがあるという。
 
普段からバランスのとれた食事をしていれば、十分な量のカロテノイドが体内に摂取されているはず。けれど卵には、普通の葉物野菜とは比べものにならない即効性があると、博士は付け加えた。
 
「卵に含まれる脂肪酸のおかげで、カルテノイドが豊富な野菜よりも、はるかにルテインとゼアキサンチンが体内に吸収されやすくなるため、健康効果が高まるのです」

卵の健康メリットその5. 骨が丈夫になる
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卵はビタミンDを自然に摂れる数少ない食品のひとつ。ビタミンDはカルシウムを吸収して骨を健康に保つだけでなく、神経筋機能を高め、炎症を抑える効果があるのだとか。
 
「卵にはほかにも、DHA(放牧鶏により多く含まれる)やそのほかのビタミンB群、脂溶性ビタミンA、D、E、Kといった必須栄養素やビタミンが含まれています」とボーチェさんは言う。
 
「さらに微量ミネラルのヨウ素とセレンは、十分な量を摂取されることが少ないのですが、脳の発達や甲状腺機能、肝機能に作用します」

卵は良いたんぱく源ってほんと?
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卵は、筋肉と体組織の再構成に必要な9種類の必須アミノ酸を含んでおり、良質なたんぱく質とされている。
 
サイズにもよるけれど、卵1個に含まれるたんぱく質はだいたい5~8g。これで体に必要な量をほとんどカバーできる。さらに必須アミノ酸も供給できるので、優秀なたんぱく源と言って間違いなさそう!

卵はコレステロール値を上げる?
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最新のエビデンスでは、食事性コレステロールが自動的に血中コレステロールを上昇させることはないという。つまり健康な人が適量の卵を摂取する分には、病気になるリスクはほとんどない模様。
 
以前「米国医師会雑誌」に発表された、ノースウエスタン大学の研究の最新の再調査によると、1週間に3個以上の卵を摂取すると心臓病にかかる確率が25%以上アップするという結果が出た。
 
ところが、血中コレステロールに悪影響を与えるのは飽和脂肪酸とトランス脂肪酸で、食事性コレステロールが長期的に健康被害を及ぼすわけではないことを、多くの専門家が認めている。
 
こうした経緯から、2015年~2020年のアメリカの食生活指針だけでなく、「米国心臓協会」や「米国心臓病学会」、「米国糖尿病協会」も、以前推奨していた食事性コレステロールの制限を撤回している。
 
結論としては、卵は適度に摂取することが大事な鍵となる。すでにコレステロール値が高い人が毎日卵を6個使ったオムレツを食べたとしたら、心臓血管に悪影響が出るかもしれない。けれど1日1~2個食べる分には、ヘルシーな朝食として許容範囲内といえそう。

茶色い卵は白い卵よりヘルシー?
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答えはノー。卵の殻の色は、品質や栄養価、味を示すものではないみたい。ボーチェさんいわく、卵の殻の色の違いは鶏の種類の違いによるそう。
 
白い羽の鶏は白い卵を産み、茶色の羽の鶏は茶色の卵を産む。ではどうして茶色の卵の方が少し値段が高いことが多いのかというと、たんに茶色の鶏は白い鶏に比べて体が大きいので、飼育にかかる費用が高くなるからだとか。

卵の白身だけ食べるべき?
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ベジタリアンの方、フレキシタリアンの方はとくに注目! 1日に1個以上の卵を食べている人は、全卵を白身だけに変えると、卵のおいしさを味わいつつ余分なコレステロールも避けられるそう。とはいえ、1週間のうち数回は全卵のままで食べたほうがいいかもしれない。
 
なぜなら必須栄養素のほとんどが、卵の黄身に含まれているから。そして黄身に含まれる脂肪が、これらの必須栄養素が体内に吸収されるのを手助けしてくれるという。そもそも卵に含まれるたんぱく質の40%は、黄身の部分に含まれているのだ。

卵は何個まで食べていい? 一緒に食べるといいものは?
Photo: Getty Images

現在の健康ガイドラインでは、卵を1日に1~2個食べたとしても、とくに健康を害することはないとされている。購入したあと、3~5週間は品質を保持したまま冷蔵庫で保存できるので、かんたんで栄養価の高い定番食品として活用したい!
 
・ 野菜入りのスクランブルエッグやフリッタータ
・ アボカドトースト
・ オートミールにも

original text : Jaclyn London, MS, RD, CDN, Good Housekeeping Institute & Zee Krstic translation : Mutsumi Matsunobu

※この記事は、海外のサイト『グッド・ハウスキーピング』で掲載されたものの翻訳版です。データや研究結果はすべてオリジナル記事によるものです。

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