「選民DNA」を持つがゆえに悪事を働けない【朝鮮日報コラム】

7/5(日) 10:01配信

【朝鮮日報コラム】「選民DNA」を持つがゆえに悪事を働けない

 先日、386運動圏(1990年代に30代で1980年代の民主化運動にかかわった1960年代生まれの人々)で与党系の中心的人物に会った。与党・共に民主党の尹美香(ユン・ミヒャン)議員=市民団体「日本軍性奴隷制問題解決のための正義記憶連帯(正義連)」元代表=の話が出ると、突然逆上した。「なぜ罪のない人を蔑視して苦しめるのか」と言う。「30年間、慰安婦被害者一筋だった尹美香議員は決して悪いことをする人ではない」というのだ。

 慰安婦被害者の李容洙(イ・ヨンス)さんが怒りを爆発させ、さまざまな問題が明らかになったのにもかかわらず、かたくなだった。 「我々のようにこちら側の道を歩んできた人々は私腹を肥やすなんてまねは絶対にしない」と言った。運動圏(市民運動や学生運動にかかわった人々)は生まれながらにして悪いことができない人々だという話だった。彼は「お前らが何を知っているというんだ。マスコミが間違っている」と怒りの矛先をこちらに向けた。

 昨年のチョ国(チョ・グク)前法務部長官問題の時も同様だった。与党関係者の中心的人物は「チョ国はそんな人間ではない」「もともと善良な人間」と擁護した。私募ファンド投資や子の入試不正の証拠があちこちから出てきても同じだった。「我々の仲間がそのような悪人だと罵倒(ばとう)されるのは我慢できない」と言った。

 政治資金不正授受で実刑判決を受け、2017年に出所した韓明淑(ハン・ミョンスク)元首相をめぐる問題でも変わらない。与党指導部は「検察の供述強要疑惑」を掲げ、監察調査を押し通した。大法院で判決が確定した事案なのに「韓明淑元首相は悔しい思いをしている」と話す。自分たちのゴッドマザー的な存在である人物が収賄の前科者として後世に残ることを容認しないという姿勢だ。

 「選民意識」の決定版は青瓦台だった。2018年末に青瓦台特別監査班査察疑惑が浮上すると、金宜謙(キム・ウィギョム)青瓦台報道官=当時=は「文在寅(ムン・ジェイン)政権の遺伝子(DNA)にはそもそも民間人査察が存在しない」と言った。文在寅政権の人々はひときわ純潔なDNAを持っていると言っているように聞こえた。昨年末の蔚山市長選「下命捜査」疑惑も同様だ。宋炳琪(ソン・ビョンギ)元蔚山副市長が情報提供者であることが明らかになったが、尹道漢(ユン・ドハン)国民疎通首席秘書官は「青瓦台による『下命捜査』はなかった。文在寅青瓦台はうそを事実のように言わない」と述べた。

 5・18(光州民主化運動=光州事件)やセウォル号をめぐる歴史歪曲(わいきょく)処罰法では、選民意識が鋭い独善に変わった。自分たちとは違う考えを述べる人々を悪だと見なして処罰するというものだ。朴槿恵(パク・クネ)政権時の国定歴史教科書にあれほど反対していた人々が、逆に相手に向かって棒を振り上げているのだ。

 386運動圏出身者は「道徳的優越感が罪の意識をなくした。反省することを知らない」と言った。「我々は民主化・市民運動をしてきた正義の人々」といううぬぼれに陥り、自分たちの不正や不公正には目をつぶっているということだ。かつて朴淵次(パク・ヨンチャ)元泰光実業会長による贈賄疑惑が発覚した時、親盧武鉉(ノ・ムヒョン)系の中心人物はこう言った。「それは政治的同志が与えた小遣いだが、何が問題なんだ?」。親盧武鉉系の後援者だった姜錦遠(カン・グムウォン)元昌信(チャンシン)繊維会長についても「政治的発展を無条件に支援する美しい篤志家」と言った。

 韓明淑元首相の金は見返り的な性格がなく、チョ国元長官の子の入試不正は目をつぶってもいいレベルで、尹美香議員の寄付金流用疑惑は慣行だと見なす。いくら罪や過ちを犯しても「間違ったことをした」と認める人がいない。もともと「善良な人」だという腕章をつけていれば無条件で免罪符をもらえる世の中になったようだ。与党関係者内部からも「親文(在寅系)は特権階級なのか」という声が上がっている。

 今年4月の総選挙で176議席という絶対議席数を獲得した与党は、数字の力で「正義」さえ変えようという勢いだ。自分たちがやれば正義であり、法であり、真実だと考えているようだ。しかし、優越感と独善に浸ってごう慢になった権力は長続きしない。世の中には選民も、特別なDNAもない。罪は人を選ばない。現在の執権勢力がかつて立ち向かい、闘った過去の政権がどのようになったのか振り返ってみてほしいものだ。

政治部=ペ・ソンギュ部長

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