政界を汚染する黒い“中国マネー”

政界を汚染する黒い“中国マネー”…バックに習近平氏に近い国営企業、北海道を「一帯一路」の拠点に

 【日本“復喝”】

 通常国会が20日召集された。日本経済の先行きに不透明感が強まるなか、政府・与党は2019年度補正予算案、20年度予算案の早期成立に全力を挙げるが、左派野党は首相主催「桜を見る会」の問題や、カジノを含む統合型リゾート施設(IR)事業をめぐる汚職事件などを徹底追及する構えだ。IR汚職は「中国マネー」が日本政界に深く浸透していた看過できない事件だが、背景として「北海道の拠点化」を狙った中国資本による大規模な土地買収も指摘されている。共産党独裁、中国の習近平政権の動向とは。産経新聞の佐々木類論説副委員長が迫った。

 中国マネーによる政界汚染の一端が明らかになった。北海道と沖縄県を舞台としたIR事業に絡む贈収賄事件だ。

 東京地検特捜部は14日、中国企業側から講演料名目の200万円などを受け取った収賄容疑で、IR担当の内閣府副大臣だった衆院議員の秋元司容疑者(48)=自民党離党=を再逮捕して裏付け捜査を急いでいる。中国企業側は、与野党議員5人に100万円ずつの提供を供述しているとされるが、1人を除いて受領を否定している。

 安倍晋三政権は、IR事業を「成長戦略の柱」と位置付けるが、事件は暗い影を落としそうだ。

 謎の多い事件で忘れてならないのは、容疑事実が巨大なジグソーパズルの一部分に過ぎないということである。

 つまり、巨大経済圏構想「一帯一路」で日本を絡め取り、21世紀の「冊封(さくほう)体制」(=中国の王朝と周辺国との間の君臣関係)構築を夢想する中国の周到な国家戦略の輪郭が、おぼろげではあるが、パズルの図面に見え隠れしてきたのが今回の事件なのだ。

 小悪を捕らえて巨悪の逃げ切りを許せば、ほくそ笑むのは中国共産党政権と、それを手引きする面々である。中国風に言えば日本国内に巣くう「漢奸」の存在だ。

 中国マネーの毒が回った政界に、自浄作用は期待できそうにない。

 特捜部が背景も含めて、どこまで事件の全容解明に迫ることができるのか、今後も注視していく必要がある。特捜部が「事件の背後に広がる闇」から目を背けるようでは、事件の真相に迫ることなどあり得ない。

 それどころか、中国による「日本の冊封体制化」を加速させてしまいかねない危険をはらんでいるのである。

 贈賄側の中国企業「500ドットコム(以下、500社)」は2001年に設立され、13年にはニューヨーク証券取引所に上場している。だが、スポーツくじはやったことがあっても、IR事業とは縁遠い存在だった。

 このバックにいるのが、中国通信機器大手「華為技術(ファーウェイ)」と肩を並べる、半導体企業グループ「清華紫光集団」だという。同社は、習近平国家主席の母校である中国の名門・清華大学が設立した清華ホールディングスの子会社で、事実上、中国政府が経営する国営企業だ。

 このため、「『500社』によるIR事業参入は、日本乗っ取り計画に道を開きかねない『トロイの木馬』だったのではないか」(公安当局関係者)という見方もある。

 清華紫光集団は、半導体やビッグデータ、AI、監視技術などを開発する中国屈指の有力企業だ。

 カジノに来る日本のVIPや一般人、外国人観光客はすべて、顔認証システムなどによって個人情報や持病、そこから派生する各種クレジットカードまでが、中国当局に筒抜けになってしまう恐れがあるのだ。

 ■中国、北海道を「一帯一路」の拠点に

 そもそも、事件はなぜ発覚したのか。

 筆者はそこに「米国の臭い」を嗅ぎ取るのだが、世に流行る陰謀論だと笑い飛ばせない国際環境にわが国はある。

 対中融和に前のめりで、自ら冊封体制に入っていくような日本の危険な振る舞いと、習氏を国賓として招く安倍政権に対し、IR先進国で情報をふんだんに持つ米国が特捜部に情報を提供し、警鐘を鳴らしたとみれないこともないのだ。

 実際、北海道で計画されていたIR事業では、地元自治体が公表していない外資系企業の中に、中国系企業が含まれていた可能性がある。仮に、中国系企業がIRの運営を任された場合、「人民解放軍属を含む2万人の中国人が移住する」(地元関係者)との懸念の声が上がっていた。

 北海道の洞爺湖から東の苫小牧に連なる一帯は、中国が「一帯一路」の一環として建設に動き出している、北極海経由の航路「氷上シルクロード」の中継拠点としてうってつけなのだ。

 苫小牧周辺に拠点を持てれば、中国が北朝鮮から租借した清津(チョンジン)、羅津(ラジン)両港を起点に、津軽海峡を抜けて、苫小牧、釧路、ベーリング海を抜ける航路の確保が可能となる。

 昨年は中国の王岐山国家副主席が、一昨年は李克強首相が来日時にわざわざ北海道を訪れ、洞爺湖周辺を訪問している。今春、「国賓」として来日する習氏が洞爺湖周辺を視察をすれば、中国資本による土地の爆買いが進む北海道侵略の第一幕が完結してしまうのではないか。

 IR汚職事件が突き付けたのは、危ういわが国の近未来なのである。さらに詳しいことに興味のある読者は、2月1日発売の「月刊正論」3月号をお読みいただきたい。

 ■佐々木類(ささき・るい) 産経新聞論説副委員長。1964年、東京都生まれ。89年、入社。警視庁で汚職事件などを担当後、政治部で首相官邸、自民党など各キャップを歴任。この間、米バンダービルト大学公共政策研究所で客員研究員。2010年にワシントン支局長、九州総局長を経て、現職。沖縄・尖閣諸島への上陸や、2度の訪朝など現場主義を貫く。主な著書に『日本が消える日』(ハート出版)、『静かなる日本侵略』(同)、『日本人はなぜこんなにも韓国人に甘いのか』(アイバス出版)など。

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