4/22(水) 5:56配信デイリー新潮
「文在寅」圧勝で確定“日本を褒めることを禁止する”法案のヤバい中身
政策は”親日勢力の清算“
4月15日に行われた韓国国会の総選挙。300ある議席のうち、文在寅政権の与党である「共に民主党」系は、保守系野党である「未来統合党」系を大きく上回る180議席を獲得し、当初の予想をはるかに上回る与党の圧勝、そして、保守の完敗に終わった。
今回の“歴史的大勝”により、文在寅政権は、残り2年の任期中に「やりたい放題」の政策を展開できる国民的支持を得たことになる。中でも、外交安保の面では、親中・親北的な色彩が一層強まる一方で、日本に対してはさらに強硬な姿勢となることが予想される。
実際、コロナ禍で行われた総選挙だったにもかかわらず、与党が打ち出した選挙運動の戦略は“コロナ”ではなく“親日勢力の清算”なのだ。そんな戦略を掲げて当選した“反日議員”たちが当選したのであるから、国会内でこれまで経験したことのない強力な反日感情が吹き荒れることは容易に想像がつく。
例えば、そんな“反日議員”の一人が、韓国社会の従軍慰安婦問題の世論を主導してきた正義記憶連帯の尹美香(ユン・ミヒャン)元理事長である。彼女は与党の比例代表候補として初当選した。
尹氏が出馬以降に韓国メディアに明らかにした内容を総合すると、彼女は慰安婦問題に対する教育と研究活動などに対する政府支援を法制化することを目標にしているという。また、国際社会の世論形成に向けて国連や多国間外交の舞台で慰安婦問題を積極的に提起して国際的な連帯を強化していくという抱負も明らかにした。以下、尹氏の発言内容である。
「私が国会でしなければならない一番大きな役割の一つは、日本軍の性奴隷制度と関連した真相究明と謝罪、そしてそれを未来世代へ伝えるための教育など、様々な活動を支援できる法制度を整えることだ。政府が、日本軍の性奴隷関連の博物館を整備する活動や女性の人権と平和を国際社会で発言する活動などを支援することで、女性の人権と平和を実現するための市民社会の努力を国際社会に拡散させることができる」
日本にとって不都合なのは、彼女のような“反日議員”の存在だけではない。与党の大勝に終わった目下の韓国国会では、反日関連法制定の一環として、「親日称賛禁止法」なる法律が成立させられようとしているのだ。
“日本を褒めることを禁止する”としか読めないこの「親日称賛禁止法」。一体、いかなる法律なのか。
この法律の制定を推進しているのは、「光復会」という団体だ。対日独立運動家の遺族らで構成された政府支援団体である光復会は、昨年、この選挙後に開会する第21代国会で親日称賛禁止法を設立させるための活動を始めると宣言した。
「ホロコースト法」を参考にした法案
光復会が推進する「対日称賛禁止法」の基礎となっているのは、2018年12月に「共に民主党」の朴光温(パク・グァンオン)議員が発議した「日本の植民地支配と日本軍の性奴隷制度の被害者に対する虚偽および情報操作禁止法」だ。2018年には成立まで漕ぎつけられなかったこの法案だが、光復会は、今回の総選挙前に行った候補者アンケート調査で、全候補者の実に97%以上が、今国会での親日称賛禁止法の成立に賛成するとの回答を寄せてきたと明らかにしている。一度は葬り去られたはずのこの法案に、彼らは再び命を吹き込もうとしているのだ。
フランスやドイツなどの「ホロコースト法」を参考にしたと言われているこの法案は、つまり、日本統治時代に対して事実と異なる主張をしたり事実を歪曲したりすれば処罰されるという法案だ。具体的には、慰安婦と徴用工の問題をはじめ、日帝の植民地支配や侵略戦争行為について歪曲・美化・鼓舞または宣伝する者には、「2年以下の懲役、または2000万ウォン以下の罰金を科する」となっている。
さらに、このような親日的な主張をオンライン上で拡散する行為も禁止しており、インターネット上でこれらの主張に同調する一般人の行為も処罰対象となる。インターネットプラットフォーム運営者は、関連コンテンツを削除する義務があり、義務に違反した場合は最大650億ウォンもの罰金を科せられてしまう
「親日称賛禁止法」の前にひれ伏せとでもいうように、光復会は、最近、保守的なケーブルチャンネルの「テレビ朝鮮」と「チャンネルA」の廃局を求める請願運動まで率い始めた。
昨年6月、日本政府の半導体部品の輸出規制について「テレビ朝鮮」と「チャンネルA」はそろって、「(文在寅)政府が反日感情を煽っていることが果たして韓日葛藤の解決策になるか」「竹やりを手に持って日本と戦おうという曹国民情首席の主張は韓日関係に何の役にも立たない」と報道。これが「親日美化」的な発言をしたと主張しているのだ。
「親日称賛禁止法」が成立すれば、当然、このテレビ局が行ったような報道は、制裁の対象となるだろう。さらに、同法によって、メディアや評論家はおろか、一般のネットユーザーまでもが、政権の主張と異なる「日韓関係」の真実を語ることを禁じられてしまうのだ。
韓国国民の圧倒的な支持を得ている文在寅政権と与党の「韓国内の親日狩り」は、これからもいっそう加速化する見通しだ。
金昌成
韓国在住のジャーナリスト。韓国政財界や芸能界など幅広い分野で記事を執筆。来日経験も多く、日韓関係についても精力的に取材を行っている。
週刊新潮WEB取材班編集
2020年4月22日 掲載
新潮社
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