WHOの問題は氷山の一角…「国連」のお粗末すぎる内情

4/24(金) 6:31配信現代ビジネス
WHOの問題は氷山の一角…「国連」のお粗末すぎる内情

 中共(武漢)肺炎パンデミックが広がる中で、WHO(世界保健機関)と事務局長であるテドロス・アドノム氏は常に脚光を浴びる存在だ。

 もっとも、評判はパンデミックの火元である共産主義中国と同じくらい悪い。世界中に惨劇を巻き起こした共産主義中国が「火元責任」をあろうことか、米国など他の国々になすりつける行為は世界中の国を激怒させた。

 3月に中国外務省の趙立堅副報道局長が「米軍が感染症を湖北省武漢市に持ち込んだのかもしれない」とツイートしたことに、米国だけではない先進諸国が猛烈に反発した。

 これに対して、4月7日の記者会見で「米国の一部政界関係者が中国に汚名を着せようとしたことへの反応であり、中国の多くの人が抱いた義憤を反映したものだ」と釈明したが、謝罪はしていない。

 もちろん、共産主義独裁国で政府高官が自らの意思でツイートすることなどあり得ず、いつもの「罪を他人になすりつけるプロパガンダ」の一環である。そして、「共産党が間違えることはあり得ない」から謝罪などしないで「間違いに現実を合わせる」ために懸命に努力するのである。

 日本人にとって、このような中国共産党の態度は、これまでの数々の歴史問題における「捏造」や2008年に発覚した毒ギョーザ事件(中国の工場で製造された製品に『メタミドホス』という猛毒が混入していた)への対応でおなじみだ。

 しかし、欧米諸国は共産主義中国の本質をこれまで知る機会があまりなく、今回の「(ウイルスの)罪のなすりつけ行為」に驚き、怒りを露わにしているのだ。

 それでなくても、ウイグル、チベット、香港などにおける人権蹂躙行為に対して、香港(上院で全会一致)ウイグル(下院で407対1の圧倒的多数)などの人権法案を可決させ、「共産主義中国は人類の(人権の)敵」という共通認識が広がっているのだ。

 トランプ大統領はリアリティショーの司会を務めたこともあるから、世論に極めて敏感だ。米国や日本のオールドメディがどのように騒ごうとも、トランプ氏の対中政策は国民の声を背景にしている。

 したがって、トランプ米大統領が4月14日に「WHOのウイルスへ対応の過ちを検証する間、同機関への資金拠出を停止するよう指示した」と発表したのも、あからさまな中国寄りの姿勢によって、米国を始めとする世界に惨劇を広げたことに対する米国民の怒りが背景にある。

 トランプ氏は、「WHOは中国の誤った情報を押し付け、人との間で伝染しないし、(中国への)渡航禁止は必要ないと主張した」と指摘している。

 もちろん、日本が中国からの渡航禁止を早期に決定しなかったのは、日本のテドロスともいえる自民党の二階俊博幹事長の暗躍もあるが、WHOから正しい情報が伝えられなかった点も大きい。日本人は、もっと共産主義中国やWHOに対して怒るべきである。

WHO問題は氷山の一角

 WHO事務局長のテドロス氏が共産主義中国べったりであることは色々な形で報道されている。そのため世界中の人々から抗議を受け、3月26日時点で、オンライン上では「即座に辞任すべき」という内容で約52万筆もの署名が全世界から集められていると伝えられる。

 まず、同氏固有の問題がある。あまりに露骨な共産主義中国礼賛は、絶えず流れる「テドロス氏は共産主義者で毛沢東思想を支持している」という噂の信憑性を高める。

 また、同氏はエチオピア政府で2005年から2012年にかけて保健大臣を、2012年から2016年にかけて外務大臣を務めているが、エチオピアは中国とつながりの深い国で、2019年のエチオピアへの直接投資流入額25億ドルのうち60%は中国によるものとされている。

 他のアフリカ諸国と同様に、「金の力」で共産主義中国に操られている国の1つであると言ってよいであろう。

 このような状況を考えれば、(常任)理事国を除き各国がそれぞれ対等であるというシステムの国連を、「数の上で優位なアフリカ諸国を始めとする発展途上国」を金の力で抑え付け、意のままに操るのはさほど難しいことではない。

専制共産主義と偽装共産主義(リベラル)の巣窟

 4月15日に行われた韓国総選挙では、文在寅大統領率いるリベラル(偽装共産主義)系与党「共に民主党」が圧勝し、単独採決が可能になった。

 共産主義中国が北朝鮮化に向かっていることは、3月22日の記事「中国『新型コロナ封じ込め』強権の行く先は北朝鮮化か、それとも…」で述べたとおりだが、韓国国民も自らの意思で「北朝鮮化に邁進する政権」に自らの命運を託したようだ。

 歴史を振り返ってみると、韓国はもともと(軍事)独裁的な国家であり、民主主義が取り入れられるようになったのは、米国の影響が大きいように思える。つまり、「民主主義は米国に押し付けられたもの」であり、本当は朝鮮半島の中でより伝統と格式がある北朝鮮や事実上の宗主国である中国と同じ「共産主義独裁」を望んでいるのではないだろうか? 
 選挙によって独裁国家を成立させた事例は珍しくない。例えば、1930年の選挙でナチ党は650万票を獲得して、107議席の第2党となったが、その後、1933年の選挙を経てヒットラー内閣が誕生している。

 また、1789年のバスティーユ牢獄襲撃から始まったフランス革命で国王を斬首したフランスでも同じようなことが起こっている。ナポレオン・ボナパルトは自らを「フランス人の皇帝」に推戴させる選挙を行い、圧倒的な賛成多数で1804年に皇帝ナポレオン1世として即位しているのだ。

 このような韓国から国連事務総長に選出されたのが潘基文氏であり、2007年1月1日~2016年12月31日の10年間の任期を務めた。もちろん、この人事が事実上の宗主国である中国に極めて都合がよかったのは否定できない事実である。

 最大の「功績」(日本にとっては災難)は、ユネスコが2015年10月、「世界記憶遺産」として、中国が申請した「南京大虐殺文書」を正式登録したことであろう。

 「申請された文書の資料としての信憑性が低い」あるいは「登録を決める審議の場に、文書の原資料も、そのコピーもなかった」状況の中での登録をごり押ししたことに共産主義中国は大喜びであったに違いない。

 このユネスコの政治的偏向は前記の問題だけではない。2017年7月には、イスラエルもかかわっている「ヘブロン旧市街」を、「パレスチナの世界遺産」として登録した。パレスチナ問題は平和的に解決すべき問題だが、国連が一方の肩を持つべきではないはずだ。トランプ大統領はこの政治的偏向に反発し、同年10月12日にユネスコを脱退することを発表している。

 つまり、トランプ氏の怒りはテドロス氏とWHOだけではなく、共産主義中国に牛耳られ腐敗しきった国連そのものに向けられているのである。

 日本ではユネスコの「世界遺産」を有り難がっているが、実はこのように政治的に腐敗している組織が認定をしているに過ぎないのだ。

ブラックジョーク「共産主義中国が人権を監視」

 さらに、ジョークとしか言いようがないのが、国連において共産主義中国が人権を「監視」する立場にいるということである。

 天上の無いアウシュビッツと呼ばれるウイグルやチベットでの人絹蹂躙は、米国などのメディアによって次々に明らかになっている。それにも関わらず、国際連合人権理事会の2017~2019年の理事国に共産主義中国が選ばれている。

 国連が機能不全に陥っている象徴とも言えよう。

 もちろん、すべて共産主義中国が悪いわけではない。巨艦主義のEUが窮地に陥っていることは、3月31日の記事「新型コロナ危機が『EU崩壊』を引き起こしかねないワケ」などで繰り返し述べてきたが、さらにスケールの大きい国連が沈没するのは必然とも言える。

 EUという欧州大陸を中心とした限定された地域でさえコントロールできていないのに、世界という巨大な船をコントロールできると考えるのが間違いである。また、EU官僚の腐敗ぶりはEU加盟国の国民の顰蹙を買っているが、国連事務局も同様である。

 組織というものは常に腐敗するものである。日本の諸官庁の腐敗は嘆かわしいが、国連事務局の腐敗ぶりに比べたらはるかにましである。

 さらに、アイルランドは強烈に独立を志向し、過去、IRAは英国政府との戦い(テロ)で多くの死者を出した。

 また、スペインのバスク地方の独立運動も今のところ政府が押さえつけているが、いつ爆発するかわからない。つまり、世界の人々は、固有の文化や経済圏を守るために独立を志向しているのである。

新しい「国際組織」は「民主主義」に徹するべきだ

 結局、共産主義中国が牛耳る腐敗した巨艦である国連は、もともと解体される運命にあったのだ。今回のWHOの問題はきっかけにしか過ぎない。

 そもそも、国連は第2次世界大戦後、戦勝国の利権を確定するために設立された。戦後75年もたつのに、いまだに「敵国条項」で日本を始めとする敗戦国が差別されているのがその証拠だ。

 だから、日本も米国と歩調を合わせて、現在の国連(あるいは傘下の専門機関)への日本国民の血税からの支出をやめるべきである。現在、国内で支援を必要としている人々がごまんといるのに、役に立たないだけではなく、日本に敵対的な組織に資金を拠出するのは間違っている。

 そして、長期的には現在の国連に代わる新しい組織の設立を目指すべきだが、その際には敗戦国を敵国とするのではなく、共産主義中国を始めとする「非民主国家」を敵国としなければ世界に平和は訪れない。

 民主主義先進国がリーダーシップをとれる組織を構築しなければ、世界はよくならないのである。

大原 浩(国際投資アナリスト)

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