米連邦捜査局、中国頭脳集団を数年前から捜査対象に!? 「軍人」という身分隠し研究した留学生も… 「獲得した研究成果を中国に渡すため、違法性がある」

6/4(木) 16:56配信

米連邦捜査局、中国頭脳集団を数年前から捜査対象に!? 「軍人」という身分隠し研究した留学生も… 「獲得した研究成果を中国に渡すため、違法性がある」

 ドナルド・トランプ米政権は、中国による先端技術や知的財産のスパイ活動を防ぐため、中国人民解放軍とつながりのある中国人の研究者と大学院生への査証(ビザ)発給を停止し、入国拒否・追放に乗り出した。米国で10万人以上が犠牲となった新型コロナウイルスの初動対応や、香港の「高度な自治」を無視した「国家安全法」の導入決定などをめぐり、米中関係はかつてない緊張状態となっている。トランプ大統領が着々と構築する「中国包囲網」とは。ノンフィクション作家の河添恵子氏が、緊急寄稿第15弾で核心に迫った。  

「空港でスマートフォンやパソコンの中身まで(米当局に)検査されるから、事前にデータを抜いておくように」

 米国在住の中国人エリート社会で先月末、このような注意喚起が広まったという。

 トランプ氏は5月29日、ワシントンのホワイトハウスで、「米国の繁栄と安全を守るため」として、中国を厳しく批判する記者会見を行った。

 同日、「中国の特定の学生および研究者の非移民としての入国停止に関する布告」が出され、6月1日から実施された。布告には、「米国で研究を行うためFビザ(学生査証)、またはJビザ(交流訪問者査証)で米国に入国しようとする『中国の特定の人たち』の入国は、米国の利益に有害であると判断し、入国の中断と制限を設けた」と記されている。

 トランプ氏は先の記者会見で、「中国は長年、われわれの機密を盗むための違法なスパイ行為を行ってきた」と明言した。

 これを受けてか、駐米中国大使館はエアチャイナ(中国国際航空)の臨時便を、5月30日に米ワシントンから中国・広州まで飛ばすことをウェブサイトに掲載した。6月4日にも臨時便を飛ばすという。

 冒頭の注意喚起は、米当局の検査で発見されないように、証拠を隠滅して脱出せよという意味だろうか?

 ところで、「中国の特定の人たち」とは、一体どういう人々なのか。

 英BBC(日本語版)が1月30日、「米ハーヴァード大教授ら3人訴追 中国との関係を隠した疑い」とのタイトルで報じた記事に、中国人留学生と研究者の実例が記されている。

 1人は、「中国人民解放軍の軍人」という身分を隠して、ボストン大学でロボット工学を研究し、米国内で多くの任務を果たしたという。もう1人は、がんの研究者といい、ボストンの国際空港で、かばんの中に生体サンプル21個を所持していたところを逮捕された。検察当局の情報をもとに書かれた記事だ。

 トランプ氏の布告には、「中国当局は、機密性の高い米国の技術と知的財産を取得するため、一部の中国人学生(主に大学院生や博士研究員)を、知的財産権のコレクターとして活用している」「学士レベルを超えた研究に従事する中国からの学生や研究者は、人民解放軍に搾取、もしくは協力する危険性が高い」と記されている。

 米教育機関には現在、中国人約36万人が在学している。このうち、中国人民解放軍との関係が疑われる中国人が追放されるとみられる。ロイターは「3000人から5000人に影響を与える可能性」を報じた。すでにビザが取り消されたり、国外にいて米国入国が許可されない学生や研究者もいる。

 注目の布告は、中国政府の「軍民融合戦略」にも触れている。

 同戦略は「中国の軍事力に組み込み、進歩するために、外国の(民間)技術、特に重要で新興の技術を取得し転用するため、中国の要請による行動」といい、その実施や支援に関与する個人、団体、組織への警戒もあらわにしている。

 そして、「国務長官および国土安全保障長官は、それぞれの省の範囲内で、適切な機関の長と連携して、中国が米国の機密性の高い技術と知的財産を取得することによってもたらされるリスクを、さらに軽減するための行動を取る」と記されている。

 こうなると、入国制限を受ける対象は、FビザとJビザの所有者だけではない可能性がある。将来的には、グリーンカード(永住者カード)を所持する「中国の特定の人たち」が、米国に安穏と居続けられなくなり、米中を自由に行き来することも難しくなりそうだ。

 特に、中国当局による「千人計画」に選ばれたスーパー理系頭脳の持ち主たちは、FBI(米連邦捜査局)が数年前から、「獲得した研究成果を中国に渡すため、情報や研究財産の盗用など米国法に基づいた違法性がある」として捜査対象としている。

 「千人計画」とは、海外の中国人研究者や技術者を破格の待遇で呼び寄せて、中国の科学的発展に貢献させるプログラムのことだ。「中国で唯一、ビジネスで世界をまたぐ科学公益プラットフォーム」として称賛される組織「未来論壇」や「欧米同学会」などの名簿には、米国在住の中国共産党最高幹部の子女や、巨大IT企業や投資会社の創業者らの名前がずらりと並んでいる。

 トランプ政権は今後、彼らへの監視を強めていくのだろう。

 ■河添恵子(かわそえ・けいこ) ノンフィクション作家。1963年、千葉県生まれ。名古屋市立女子短期大学卒業後、86年より北京外国語学院、遼寧師範大学へ留学。著書・共著に『米中新冷戦の正体-脱中国で日本再生』(ワニブックス)、『世界はこれほど日本が好き』(祥伝社黄金文庫)、『覇権・監視国家-世界は「習近平中国」の崩壊を望んでいる』(ワック)など。

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