韓国総選挙:文在寅政権、大勝したのに早くも「不正」騒動

韓国総選挙:文在寅政権、大勝したのに早くも「不正」騒動

2020年04月22日 14:00

高 永喆

高 永喆

1960年3月15日、韓国の李承晩政権は与党と役所を動員し大規模な不正選挙を行なったが、大勢の学生デモが発生。12年間続いた李承晩政権は崩壊した。いわゆる「4.19学生革命」だ。結局、「建国の父」李承晩大統領はハワイへ亡命して病院で永眠した。

それから60年。さる4月15日、韓国総選挙では文政権を支える与党が圧勝を収めた。

開票速報での大勝に沸く与党陣営(KBS NEWSより)

だが、「不正選挙」の事例が相次いで発覚して騒動になっている。20日には、全国大学協議会ソウル大学支部会長がプレスセンター前で文政権の不正と独裁を非難し、告発する広報物チラシを配ったとして警察に連行された。これからコロナウィルスの事態が落ち着いたら全国的な学生デモと大掛かりな国民デモが発生しかねない。

今回、保守系野党が大敗した直接的な要因は、コロナの感染拡大により、保守右派の集会が制限されてしまったことや、保守陣営が分裂していたこと、さらに3大労働組合(民主労組、教職員労組、言論労組)が政権を支持するように世論誘導されてしまったことなどが挙げられよう。

厳しい結果に静まり返る野党陣営(KBS NEWS)

そうした一方で、保守右派が敗北した、もうひとつの遠因がある。韓国のことわざで「お腹が空くのは我慢出来ても、お腹が痛いのは我慢出来ない」と言われるような問題だ。つまり、勉学が優秀で出世した既得権(特権層)や、ビジネスで成功した富裕層、財閥は憧れの対象であるととともに「妬み」の標的でもあるわけだ。

だから、文政権による、格差社会への庶民層の不平不満をそそのかすように仕向けてきたことが成功したわけだ。美貌、富、名誉を兼ね備えた保守党(未来統合党)の院内代表、羅卿瑗氏も落選しており、右派保守党の代表、黄教安(前総理)も落選した。彼は名門ソウル大学を出てキャリア官僚・地方検事長を経て総理の位置まで出世した人である。当然、憧れの対象であるものの妬みの対象にもなっている。

「美人すぎる政治家」でおなじみ羅氏も落選(KBS NEWS)

しかし、文在寅大統領こそ高収入が保障される弁護士であり、盧武鉉政権の秘書室長を勤めた「富裕層」だ。にも関わらず「自分は避難民出身の貧乏だ」と言う庶民パフォーマンスによって、99%を占める庶民層(25%の中間層を含む)の支持を得た。

「国家は右翼と左翼の両翼で飛ぶ」と言うバランスを破った文政権は、均衡感覚を失い、自ら墜落、致命傷を浴びかねない危険過ぎる政治環境を作ってしまった。

一見すると、総選挙で圧勝し、残り2年の任期に向けて、政権基盤を固め直したように思える文政権だが、火種が無いわけではない。実は、保守陣営の間では選挙結果について、「不正があったのではないか」という疑念が持ち上がっている。火種は、手作業による開票と電子投票の結果の相違から起きている。

比例代表者の得票率を見ると、与党・共に民主党は17議席で33%。保守系野党の未来統合党は19議席34%だった。ところが、電子開票機で集計した全国地域区選挙では共に民主党が163議席を獲得し、未来統合党の獲得は84議席だけだ。この「ねじれ」が、不正選挙ではないかとの指摘が出ている理由だ。

比例代表の得票率を全議席に当てはめると、与党(共に民主党)は123席を得るはずであり、野党(未来統合党)は124席を得票して与野党が逆転していた計算になる。考えてみれば、有権者が比例代表には与党に投票し、地域区は野党候補者に票を入れるというのはありえない。反文政権の保守層などが不正選挙を疑ってしまうわけだ。

韓国総選挙の開票作業(KBS NEWS)

首都圏のソウルや仁川、京畿道の地域区では与党が63%、保守野党は36%と「一律」の得票率で、電子開票機の集計を不正に操作したのではないかとの説が持ち上がっている。保守系を代表する評論家であり、統計学の専門家である池萬元博士は、今回の選挙を「100%不正選挙だ」と主張している。

こうした保守側の主張は一見すると、「負け惜しみ」、あるいは「陰謀論」に思われるかもしれない。ただ、彼らの疑念を持つ理由に、こんな「事件」がある。

文在寅政権2年目の2018年7月7日、当時の聯合ニュースは、イラクの総選挙で使われた韓国製の電子開票機による不正疑惑が発生。1,363票を得票していたはずの候補が、手作業で開票し直すと実際はわずか115票しか得ていなかった。このときはイラクで不正選挙に怒った人たちによる暴動も起きた。当時、イラクは韓国製の電子開票機を7万台輸入。1021か所の電子開票機の集計操作が発覚し、結局、選挙結果は無効になった。

今回の韓国総選挙で韓国中央選挙管理委員会は、LG U+製の選挙管理システムを単独入札で契約したが、中国のファーウェイの通信網を使っている(参照:Financial Today  3月30日)。韓国国内でも、欧米では、ファーウェイ通信機器にハッキングチップが付いて相手の情報が盗まれた事例が頻発し、既に排除されたことは報じられており、保守派の疑念や憶測をさらに渦巻かせている。

ちなみに、現在、与党(共に民主党)の当選者97名が、選挙法違反疑惑で捜査対象になっている。4月10日、11日の期日前選挙の投票率は26%〜30%と異例の高さであり、買収された有権者が大勢動員され、与党(共に民主党)に投票したのではとの憶測も呼んでいる。

特に、選挙管理委員が期日前選挙の投票箱を捺印封印しないまま、郵便箱に入れて保管所に移動させた事例が取り沙汰され、保管所の公開を求める公正選挙監視国民連帯の要求を無視し、投票箱保管所への出入りを禁止したことも騒ぎになっている。

さらに、投票箱保管所の監視カメラが新聞紙に隠された事例や410枚の捺印なし投票用紙の束も発見。一方、選挙管理人が捺印封印したサインの筆跡が全然違う事例が複数報告されるなど、不正選挙騒動の「火種」はとどまるところを知らない。

文在寅大統領(韓国大統領府公式フェイスブックから)

韓国の歴代大統領は亡命、暗殺、自殺、収監の不幸な終焉を迎えた。刑務所と共同墓地には「昨日は俺の番!明日はお前の番!」と刻まれている。文政権が前政権の悲劇を迎えないように祈願するのみである。

(拓殖大学主任研究員、元 韓国国防省専門委員、分析官)

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