超限戦の現場

武器を使う戦争で抑止力が大事なことは当然でありますし、装備を最新のものにするのも重要です。
また GDP の1%はとても足りなくて、私はすぐに2%にすべきだと考えているわけです。
超限戦っていう本は、かなり古い本なんですけれども、このストーリー通りに物事は運んでるよということをちょっとお話をしていきたい。

まずこの軍民融合政策っていうのは、これは中国の国策なんです。
これは中国共産党が人民解放軍を世界クラスの軍に発展させるために、民間企業を通じて(ここが超限戦)外国の技術を含む、重要・新興技術を取得転用する戦略だというふうに言っているわけです。

この戦略のもとで重要な役割を果たしているのが、国務院の国家国防科技工業局っていうところなんです。
ここは人民解放軍の設備などの技術開発を進めて、宇宙開発とかロケット、そういうものをやってる部署なんです。
ここが実は、これから出てくる軍産複合体を管理し、かつ兵器開発を行う大学が7校ありますが、これを監督しているところです。これが非常に重要なポイントになるわけです。

産業の方からどう利用されているか。
軍事企業集団っていうふうに言うんですが、アメリカでは軍産複合体と略しています。

もともと中国では、政府の「○○部」っていうところで、武器の開発とか製造が行われていたんです。
1980年代後半以降に、改革開放路線っていうのが出てきて、それに合わせる形で国有企業に武器の開発とか製造が移管されてきます。

その後さらに改革開放を進めなきゃいけないということで、外資系企業と組みやすくするために、内々にミサイル作っている国有企業と合弁加担って株主に言われるとまずいということで、軍需企業集団として、兵器の研究開発や、製造の中心となって行ってるわけです。

この国家国防科技工業局というのが管理しているのは、今お話したとおりです。
つまり軍産複合体ですので、グループになってるわけです。
そのグループの中には、一見民生企業のようなところもある。
これがトラップになっているわけです。

もう1回見ていくと、産業界どうやってやっていかれるのかっていうお話をしていきます。

これを見ていただくと、日本にはこの日本企業があって、科技工業局が軍産複合体を管理している。
その中で一見民生企業があって、これと日本企業が合弁をするわけです。合弁会社を作る。
そこに軍民両用技術とかいろんなものが強制的に開示をさせられて、同じグループの中ですからこの軍事企業に情報が行く。
これが当然ここで軍事転用されて、人民解放軍の装備が近代化されて、日本の脅威になっている。

だからこれ一見合弁企業で、何か色々一緒にやってるように見えてるけども、軍民両用技術を差し出して、それをグループ内で回されて、軍事転用されて、脅威になっているんだと、こういうことをなかなかはっきり言ってくれないわけです。
我々調べていけばすぐわかるわけです。

主な軍事企業集団ってどこなのかっていうのは、ここに名前をちょっと上げておきますけど、やっぱり独裁国家らしく、各産業分野ごとに分けて作ってあります。
もともとは12あったんですが、合併したり再編したりして今こんな形になっています。
これらは産業界です。

今度学術界はどうなってんだよというのをお話をしていきます。
この学術界の特徴というのは、日本の学術界と同じだと考えるととんでもない誤解がある。
つまり人民解放軍系の大学があるっていうこと。
さっき言った国家国防科技工業局が監督する武器開発で重要な役割を担う7つの大学があるんです。
これが人民解放軍と一体になっている。
機微度の高い兵器の開発製造を行っています。
これ国防7校と言うんです。

これは当然アメリカ合衆国のエンティティ・リスト(ブラックリスト)に全部載ってる。
この7校というのは、先端技術の軍事利用を行う武器開発大学だっていうのをちょっと頭に入れてください。

具体的にどこなのっていうとここなんです。
1、北京航空航天大学
2、哈爾浜(ハルビン)工業大学
3、北京理工大学
4、哈爾浜(ハルビン)工程大学
5、南京航空航天大学
6、南京理工大学
7、西北工業大学
この7校です。これ皆さん覚えておいてください。
航天なんてのはミサイルそのものです。

この7校があって問題は、西側の大学に留学生を送り込んでいるんです。
軍民両用技術を摂取、つまり盗み出して帰国して軍事転用を行っている。

例えば中国の無人航空機。
これ無人航空機って書いてますけど、無人爆撃機です。
人殺しのため、これが西北大学、南京航空航天大学、北京航空航天大学の3校が中心で開発したって言われている。

問題なのは、今までトランプさんが登場するまでは、日本、それから欧米の大学と提携をして、交換留学生送り込んで、軍民両用技術の研究を通じて、軍事転用可能な技術が移転されて、安全保障に影響を及ぼしていたということなんです。

せっかく文部科学省がデータを出してるんで、これも全部出しちゃいます。
国防大学と提携している日本の大学こんだけあります。
東大、京大、東工大、北大、東北大、筑波大、名古屋大、大阪大、神戸大、九大、早稲田、全部ありますけど、これ文部科学省のサイトに出ているものを抽出するとこういうのが出てくる。

学術界から出てってるよっていうのは、具体的には国防7校っていうのは、武器開発大学がある。
その上位には国家国防科技工業局がある。
それらと提携してきてるんだよということです。

よく大学の先生というと、うちのゼミに来ている人たちはすごくいい中国人たちばっかりだっていうんです。
ところが中国にはこういう恐ろしい法律があるんです。
これ何かというと国家情報法っていいます。

これ70条で、「いかなる組織及び個人も、法に基づき国家諜報活動に協力し、国の諜報活動に関する秘密を守る義務を有し、国は諜報活動に協力した組織及び個人を保護する」っていう法律があるわけなんです。
だからどんなにいい人でも、法律によってこれを義務づけられている。

この前読売新聞に出てた記事ですけど、JACSAのサイトが人民解放軍の男によってハッキングされて、事情を持ち出された。
その時に情報持ち出しに協力した留学生がいるんです。
その留学生というのは比較的まともな人で嫌がってたんです。
そしたらその人民解放軍の男の妻が、その留学生に対して国に協力せよと言ってやらせたって言うんです。
これはなぜかというと、この国家情報法が基になっているということなんです。
つまり留学生の家族というのは中国にいるし、それで断ったら何されるか分からない。
最近では今問題になってるのは、留学生同士相互監視するような仕組みを、中国大使館が設けていて、密告制度をお互いにやらせてるような実態もある。
だからこういう実態があるということ。
だからいかに良い人だと言っても、こういう法律があるから、中国の留学生はお気の毒にっていう部分もあるんです。

今のお話をパットまとめますと、ここにありますように、国家国防科技工業局が軍産複合体を管理して、それから国防7校を監督している。

そこから平成29年度に何と172人日本の大学に来ています。

これが軍民両用技術を研究している日本で、帰国して研究成果持って帰って、軍事転用しているわけです。
で兵器を納入する。

この国防7校は軍産複合体の軍事企業と、軍事技術の開発も一緒にやっている。
人民解放軍とも一緒にやっている。
つまりデュアル、つまり産業界と学術界両方から情報がズブズブに抜かれている。
これ国防7校だけじゃないです。
だけど典型的な例として。
あとここで金にあかして、引き抜かれた人たちは、千人計画って日本の大学からこの国防7校に金で引き抜かれて、ノウハウを中国の軍事開発のために役立ててる。

こういった仕込みを見ると、日本学術会議が日本の防衛産業には協力するなというふうに指示を出している。
あれ内閣府の一部です。
ところがそれをやりながら、片っぽうでこういう国防7校から留学生を入れて、勉強させて持ち帰らしている。
つまり中国の兵器の近代化に間接的に協力してるって言うことなんです。
これは非常に問題。

これ日本の例を出しています。
欧米でも全部一緒です。
だから欧米諸国はこういう動きを取ったわけです。
トランプさんはアメリカ国内に、国防7校から来た学生たちのビザを1000人以上停止したんです。
それと国外退去した。

イギリスも外国人の大学院生の受け入れを、管理規定を変えて強化してる。
だからこういうことをやってます。

日本はどうですか。何もやってない。
長尾先生が文部科学省に聞いてくださったんです。
172人の留学生は、一体全体何の研究をして帰ったのでしょうかと。
国政調査権を使って調べることはできないんですかと。

文部科学省の回答はあずかり知りません。
よくバケツに穴が開いているって言うけど、いやいや日本の学術界はバケツの底が抜けて、そのままスルーしてますよっていう風に言ってるわけなんです。

具体的に言うと、経済産業省のホームページからですけど、レーダー。
これ留学費用国費補助して送り込まれて、日本の大学のレーダーの開発の権威の方が全部教えて、当然技術流出が懸念されるような事態が起こっている。
こんなようなことが日本の学術界では起きてます。

もう一つ言うと、国防7校について、アメリカエンティティ・リストっていう強力な制裁のリストに国防7校全部入っています。
日本はなぜか3校なんです。
私は政治家の先生に何で4校抜けてるんですかということを言い続けているんですが、これが学術界の今の実態だということなんです。

例えば懸念事項ってどんなことがあるのか、最後にまとめますと、エンティティ・リストっていうのに書かれると、アメリカ製の最新ソフトウェアの使用ライセンスが停止されるんです。
だから国防7校ではアメリカの最新の解析ソフトは使えなくなってる。

ところが提携先である日本の大学は、エンティティリストに入ってないから、やってきてそれを使うことが可能じゃないですかっていうことが一つ。
それから当然これ2番目に書いてますけど、国防7校の構造的性格を考えれば、これは軍民両用技術を研究しているのに決まってるでしょうということ。
それから大学間の提携というのは、大学や研究者が中心だと学術界は言うわけです。

しかし中国の軍事兵器の中核である国防7校が対象であれば、これは安全保障問題として、国家ラベルの案件として考えなきゃいけないんじゃないでしょうかっていうのが、今日の話です。

先ほど申し上げましたように、アメリカやイギリスでは、もう完全に締め付けに入ってる。

数日前に中国の報道官が、アメリカが中国の留学生、理工系を拒否したのはけしからんって言っているんですが、アメリカにしてみれば、誰がアメリカ軍を攻撃するための研究に呼び込めますかって話なんです。
アメリカがそうしてる。
イギリスがそうしている。
そのなかで遅れているのは日本だけです。
しかも防衛関係の研究は、国内向けのはさせない。
これ一体どうなってるんだろう。
こういった形で武器を使わない戦争、それから技術窃盗、こういったことが行われてるんです。

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