ワクチン接種率はわずか0.6% 「このままでは、子宮頸がんは日本の風土病になる……」専門家が覚悟の警告!
3/7(土) 17:00配信文春オンライン
がんの中でも近年、際立って増加しているのが「子宮頸がん」です。日本国内では毎年約3000人の女性が子宮頸がんによって亡くなっています。
しかも子宮頸がん(上皮内がんを含む)の発症は早期化しています。1975年ごろには発症年齢のピークが60~70歳台でしたが、その後20~30歳台の若い女性に増加するようになり、最近ではピークが30歳台に移っています。若年化が進んだ背景には、セクシャル・デビュー(性交開始)の低年齢化も影響していると考えられています。
このように妊娠・出産年齢と発症のピークが重なるようになってきたため、子宮頸がんは俗に「マザー・キラー」とも呼ばれています。
ワクチン接種率はわずか0.6% 「このままでは、子宮頸がんは日本の風土病になる……」専門家が覚悟の警告!
子宮頸がんをおさえるHPVワクチン
その子宮頸がんを予防する効果があるとWHO(世界保健機関)が認めているのが、HPVワクチンです。実際、世界の多くの国で公費による予防接種プログラムが導入され、2019年2月末までに92か国がHPVワクチンの予防接種プログラムを行っています。
世界に先駆け2006~08年にこのプログラムをはじめたフィンランドやアメリカでは、すでに子宮頸がんの罹患の減少が確認され始めています。
オーストラリアでは子宮頸がんを引き起こす型のHPV感染率が77%低下し、子宮頸がんの前段階である「高度前がん病変」の発生率もビクトリア州の18歳以下の女子で約50%減少しています(オーストラリアがんカウンシル「Success of National HPV Vaccination Program」より)。
2018年10月には、ランセット・パブリック・ヘルス誌に、オーストラリアでは子宮頸がんが2020年頃までに希少がんになると報告されました。希少がんとは、10万人当たり6人未満が罹患するがんのことです。2028年頃には「排除」に相当する10万人当たり4人未満まで、さらに2066年頃までには10万人当たり1人未満まで減る――要するに子宮頸がんは「撲滅」されるとの予測も合わせて報告されています。
他の先進国でも今世紀中に子宮頸がんは撲滅できると見られています。なお、日本における子宮頸がん罹患率は、10万人当たり17人です(国立がん研究センターの2015年データ)。
ワクチン接種が進んでいるのは先進国だけではありません。HPV感染率が高く、子宮頸がんも多かったアフリカ諸国も積極的にワクチン接種を進めています。ボツワナ、モーリシャスは接種率70%以上、ルワンダに至っては90%程度の接種率になっています。いずれこれらの国々でも子宮頸がんは劇的に減る見込みです。
しかし、日本での接種率はわずか0.6%
翻って日本はどうか。2013年4月、予防接種法に基づく定期接種がはじまり、小学6年生から高校1年生相当の女子は誰でも無料で接種できるようになりました。接種努力義務が定められている定期接種のカテゴリーに入っているのは、他にBCG、麻疹ワクチン、風疹ワクチン、水痘ワクチンなどがあります。個人的な予防に重点が置かれるカテゴリーに分類されるインフルエンザワクチンなどよりも、HPVワクチンは重要性が高いと位置づけられているのです。
ところが、接種後に様々な症状が出たとする報告が相次ぎました。激しい頭痛、四肢の麻痺などの症状に苦しむ女性たちの様子を報じたテレビのインパクトは大きく、厚生労働省は定期接種開始からわずか2か月で積極的勧奨を差し控え、接種対象年齢の女子がいる世帯に予診票など書類を送付して接種を促すことを止めてしまいました。
ただ、定期接種の位置づけは変わらないので、対象年齢の女子は今でも無料で接種することはできます。しかし、接種率は約0.6%程度にとどまっています。
世界では子宮頸がんの撲滅も視野に入れる国が出てきている中、このまま日本で低接種率が続けば、今後も年間約3000人が子宮頸がんにより命を落とす恐れがある――これは異常と言うべき状況です。
接種後の“症状”は、本当にワクチンのせいなのか?
この低接種率の背景にあるのは、テレビで報じられたワクチン接種後の多様な症状でしょう。
これについて、国は全国疫学調査を実施しています。2016年12月、祖父江友孝・大阪大学教授を班長とする研究班では、HPVワクチン接種歴のある方に報告されている症状と同じ症状で受診した患者のワクチン接種歴の有無を医療機関を通じて調査し、分析した結果が報告されました。
それによれば、多様な症状は症状出現前にワクチンを接種していた女子で10万人当たり27.8人、接種歴のない12~18歳女子で10万人当たり20.4人と推計されました。この調査のポイントは、接種歴のない人にも、接種後に報告されているような多様な症状が生じていたということです。
一般の若い女性のデータを集めた大規模疫学調査もあります。通称「名古屋スタディ」と呼ばれるものです。この調査では、名古屋市に住民票のある中学3年から大学3年生相当の年齢の女子約7万人にアンケートを送付し、約3万人から回答が得られています。この手の調査では非常に高い回収率と言えます。
名古屋スタディでも「有意差なし」
名古屋スタディで特筆すべきは、患者団体である全国子宮頸がんワクチン被害者連絡会愛知支部が、薬害問題に取り組んだ経験のある河村たかし名古屋市長に要望書を提出したのを契機として、調査が行われたことです。その点、ワクチンを推進する立場である国が主導して行われた調査とは背景が異なります。名古屋市の依頼を受け、調査や分析を行ったのは、名古屋市立大学の鈴木貞夫教授でした。
そして名古屋市が2015年12月に速報の形で公表した鈴木教授の分析結果は、連絡会から提示された24項目にわたる症状の起こりやすさ(オッズ)を、ワクチン接種歴ありの人となしの人で比べたところ、接種歴ありの人で「有意に高い」ことはなかったというものでした。
ないことをないと証明するのは「悪魔の証明」
ところがその後、連絡会とも関わりのある薬害オンブズパースン会議が「名古屋スタディの統計処理には誤りがある」と抗議。名古屋市は速報を取り下げ、正式な発表も控えてしまいました。しかしながら、鈴木教授の分析には統計学的に正当性が認められ、2018年2月にはパピローマウイルスリサーチ誌に論文が掲載されています。社会的に注目された調査であったからこそ、その議論のためにも、解析結果の公表は控えられるべきではなかったと考えます。
とはいえ、ワクチン接種に起因する症状が絶対にないとも言い切れません。ただ、「ないことをない」と証明するのは、まさしく「悪魔の証明」にほかなりません。
しかし、どの程度「ない」と言えるかについては、確率論に基づき、疫学的に見積もることができます。祖父江班の調査と鈴木論文から言えるのは、HPVワクチン接種による副反応が絶対ないとは言えない一方、HPVワクチン接種後に見られた症状のすべてがHPVワクチン接種に起因したとも言えない、ということです。
過去に薬害をもたらしたスモンやサリドマイドでは疫学研究でも薬剤と症状の因果関係が明確に出ました。HPVワクチンでは、そのような因果関係が見いだせなかったのです。
もっとも、不調を訴える方々を無視してよいとは思いません。私は、ワクチン接種後の症状に対してきちんとケアする無過失補償制度が必要と考えています。医師も行政も、重い症状に苦しむ方々のサポートに真剣に取り組むべきです。
このままでは日本の風土病になる
しかしながら、HPVワクチン接種を積極的に勧奨しないという国の姿勢は、将来の世代の生命や健康を守るという責務を果たしていないと私は考えます。
世界各国でワクチン接種が進む中、このまま日本だけ1%未満の接種率が続けば、近い将来、子宮頸がんは日本にしかない「風土病」になる可能性さえあります。
日本では女性への接種さえ普及しない中、世界ではより効果の高い「9価ワクチン」というワクチンが、女性のみならず男性にも投与されるようになってきています。日本は世界に1周遅れどころか、3周遅れているのです。
残念ながら、日本のマスメディアは過去に反ワクチンの一大キャンペーンを張ったせいか、HPVワクチンの有効性や安全性に関する情報をほとんど報道しません。今回、「文藝春秋」3月号に私の論考「子宮頸がんワクチンは薬害ではない」が掲載されましたが、それまで複数のメディアに断られ続けました。
日本のマスメディアの科学的リテラシーの低さが、子宮頸がんワクチンの接種率向上を阻害している一面もあると考えられます。
HPVワクチンに対する正しい理解が定着することを願ってやみません。
◆◆◆
本記事のより詳しい内容は「文藝春秋」3月号および「文藝春秋digital」に掲載の「 子宮頸がんワクチンは薬害ではない 」をご覧ください。
※「文藝春秋」編集部は、ツイッターで記事の配信・情報発信を行っています。 @gekkan_bunshun のフォローをお願いします。
吉村 泰典(慶應義塾大学名誉教授)/文藝春秋 2020年3月号
子宮頸ガンワクチンは、効果より弊害(副作用)が多いため事実上中止となりました
犬の去勢に用いられる薬品が使われているとして反対運動が行われました
風土病になるという事は、この子宮頸がんの根本が日本にのみ存在する病原菌で発生するということなのでしょうか?
それことデマです
そもそもあらゆるガン発生のメカニズム自体が未だに解明されていません(故に、このワクチンでの絶対的に発病を止めることは出来無い)
故に、放射線治療や抗がん剤治療で正常組織にダメージを与えしか対応できておらず、再発が完全に防げるとは、
誰も(専門家】いえません。
この中止となった子宮頸がんワクチンの接種事業に公明党が深く関わり、一人当たり5万円もの自治体の負担が行われたことに、
これを行わせようとした人々の目論見がみえるようです
コメントありがとうございます。
この子宮頸ガンワクチンについては、私も以前教会で子宮頸がんワクチンは副作用があって危険なんだという話を聞き、何も考えずに危険なものだと思っていました。
また私の記憶では、世界日報でそのような特集を組んでいた時期もあったと思うのですが、教会や世界日報でそのように訴えているということで、あまり調べもせずに危険なものだと思いこんでいました。
しかし以前の記事「日本人初の快挙「10万個の子宮」~あの激しいけいれんは子宮頸がんワクチンの副反応なのか~ ジョン・マドックス賞受賞作品 村中璃子スピーチ全文」でも紹介しましたが、2月18日の虎ノ門ニュースを見て、自分の認識不足を知り、考えを180度転換し、この内容はより多くの人たちに知っていただけなければいけない内容だと思い、このブログに村中璃子氏の記事を転載した次第です。
2月18日 虎ノ門ニュース
https://www.youtube.com/watch?v=WxJL8WUz_aU&t=3259s
以前の記事にもコメントをくださった方があり、やはり子宮頸がんワクチンの接種事業の裏にある利権構造についても語られていました。
私は村中璃子氏の背景については分かりませんが、村中璃子本人は製薬会社からの資金の提供は一切ないと語られており、私の印象としては正義を貫こうという一心で、マスコミ等世間からの心無いバッシングを受けても、そんな迫害に屈することなく子宮頸がんワクチンの必要性を訴え、その活動が認められて「ジョン・マドックス賞」を受賞した初めての日本人となった真実の人という印象で、その人となりに感動しました。
確かにご指摘のように、子宮頸がんワクチンの接種事業に公明党が深く関わり、そこに利権構造が出来上がっていた可能性はあります。特に医薬品関係、医療関係の利権構造はひどいものがあり、患者を食い物にして自分たちの懐を肥やす構造がいたるところに出来上がっています。
しかしだからと言って副作用に対し有意性が認められない子宮頸がんワクチンを危険なものだと一方的に決めつけ、真実には目を瞑り、子宮頸ガンの犠牲者を増やし続けることは正しい道だとは思いません。
私もそれほど詳しく調べたわけではありませんが、是非この機会に、もう少し子宮頸がんワクチンとその副作用についてお調べいただければ幸いです。
ちなみにこのブログに掲載した他の記事も一読下されば幸いです。
日本人初の快挙「10万個の子宮」~あの激しいけいれんは子宮頸がんワクチンの副反応なのか~ ジョン・マドックス賞受賞作品 村中璃子スピーチ全文
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