スタートアップの融資を支援するINQの若林(@wakaba_office)です。
フランスが新型コロナウイルスの影響を受けるスタートアップの救済に約4,780億円を注入すると発表しました。
日本は約1.6兆円を中小企業の救済に注入すると発表しました。行政も金融機関の現場の皆さんも、本気で日本の中小企業を救済しようしています。
一方、それ故に数多くの制度があり、何度か条件緩和等の変更がされていることにより
- 正しい情報がわからない
- 自社にどの制度が使えるのかわからない
といった起業家の声もよく聞かれます。
そこで、起業家がせっかくの手厚い制度を正しく理解し、活用頂く一助になればと、最新の新型コロナウイルス対策の融資・保証制度をシュミレーション形式と一覧形式とでまとめた「【最新版】新型コロナ対策融資・保証ガイド」を作成しました。
【最新版】新型コロナ対策融資・保証ガイド
【最新版】新型コロナ対策融資・保証ガイドの主な内容は次の通りです。
- 自社にどの制度が使えるのか知りたい方
→ 新型コロナ対策制度シュミレーション - どんな制度があるのか一覧で見たい方
→ 新型コロナ対策貸付・保証制度一覧 - 区市町村の緊急支援制度を知りたい方は
→ 主要区市町村の緊急支援制度一覧
情報量が多いため、別途Googleスプレッドシートという形で公開し、本記事ではガイドの補足をします。
新型コロナ対策制度シュミレーション
「はい」「いいえ」で答えて進んでいただくと使える制度がわかるシュミレーションです。
スプレッドシート版の新型コロナ対策制度シュミレーションでは、使える制度と次のアクションとして手続きの流れや必要書類案内ページへのリンクを貼っています。
旅館業・飲食業・喫茶店業以外の方
旅館業・飲食業・喫茶店業の方
なお、選択できる制度は1つとは限りません。場合によっては公庫等による「貸付」と信用保証協会による「保証」付き融資の両方が同時に申し込み可能です。
新型コロナ対策融資・保証制度一覧
数ある新型コロナ対策融資・保証制度を、要件のひとつである売上の減少の割合順に整理して一覧にまとめました。
主要区市町村の緊急支援制度一覧
セーフティネット保証の他にも、区市町村ごとに融資あっせん、利子補給、信用保証料補助等による支援策が発表されています。公庫の特別貸付やセーフティネット保証と組み合わせて使うことも可能な制度もあります。
そこで、東京23区や政令指定都市等の主要区市町村の支援策をまとめました。
ご留意頂きたい点(免責事項)
【最新版】新型コロナ対策融資・保証ガイドのご利用にあたり、以下の点をご了承下さい。
- 起業家が使える制度を理解し、次のアクションを速やかに選択することに主眼としています。
- ここで紹介した制度は変更されることもあります。
- 情報量が過多にならぬよう一部を簡略化して記載しています。
つきましては、申し込みにあたっては必ず各制度のWEBサイト等にて詳細をご確認ください。
自分がどの新型コロナ対策融資・保証を選択できるのか、次にどんなアクションすべきか具体的に知りたい方は「【最新版】新型コロナ対策融資・保証ガイド」をご覧ください。
新型コロナ対策融資・保証の全体像から知りたい方は続きを、新型コロナ対策融資・保証の注意点について知りたい方は次章を読み飛ばしてください。
新型コロナ対策融資・保証の全体像
新型コロナ対策融資・保証は、大きく分けて公的金融機関による融資と信用保証協会の保証に分けられます。
公的金融機関からの融資のうち、一部報道でよく取り上げられている無利子・無担保融資は下図のように、金利引き下げと利子補給によって行われます。
信用保証協会による保証とは、下図のように企業が借入をするにあたり、各都道府県等にある信用保証協会が保証を行います。
万が一、企業が返済できなくなった場合に信用保証協会が金融機関に代わりに返済(代位弁済)し民間金融機関の貸し倒れのリスクを軽減するため、金融機関は融資をしやすく、企業は借りやすくなるという制度です。
このような信用保証協会の保証のうち、「セーフティネット保証」とは、特定の災害等により売上高等が減少している中小企業者をより手厚く支援するための措置です。
新型コロナ対策融資・保証の注意点
積極的に救済
東日本大震災後の中小企業支援には9兆円超の資金が注入されました。
同様に今、公庫等の金融機関は「災害」モードになっています。新型コロナの影響を被っている企業を迅速に救済すべく平時に比べて積極的に融資したり、保証を引き受けたりしています。
新型コロナ流行の直前に融資を見送られた企業でも融資されている例もあります。
この非常事態に必死に融資業務に取り組んでいる金融機関や信用保証協会や区市町村の現場の皆様に感謝しつつ、資金繰りに不安がある企業は必ず検討すべきと考えます。
スタートアップと新型コロナ対策
新型コロナ対策融資・保証は、基本的には、前年等に比べて新型コロナの影響により売上の減少が見られる場合に、それを補填する形で支援します。スモールビジネスを想定した制度と言えます。
一方、新しいサービスやプロダクトで短期間のうちに急成長とエクジットを狙うスタートアップ型の企業の場合、売上のない開発フェーズから急激に売上が伸びたり、新型コロナ以前から赤字を掘っていたりするなど、新型コロナの影響で売上が減少していることを示せず、制度にマッチしない企業が散見されます。
しかし、公庫のセーフティネット貸付(経営環境変化対応資金)では現実に売上減少が生じていなくても「資金繰りに著しい支障を来すおそれのある」場合にも対象となる可能性があります。
上記の通り、平常時に比べて救済の方向で積極的に融資する方向性でありますし、公庫のQ&Aにも「前年(前々年)同期と比較するのが馴染まない場合でも、ご利用いただけることがあります」との記載があります。
スタートアップであっても「ダメ元」で相談ないし申込されることをお勧めします。
窓口は混雑
金融機関の窓口、特に公庫の窓口は非常に混雑しています。
支店によりますが、書類提出後、面談が2〜3週間先になるところもあるようですので、早めの動き出しをお勧めします。
一方で、各支援制度がすぐに終わるということはなさそうです。公庫のWEBサイトにも
「新型コロナウイルス感染症特別貸付については、4月以降もお申込みを受け付けます。現時点で、本特別貸付に係る申込みの締め切りはございません。」
「新型コロナウイルス感染症特別貸付に申込期限はございません。また、本特別貸付は十分な融資規模に対応できる予算が手当てされておりますので、ご安心ください。」という記載があります。
もし3〜5月の方が売上減少が明らかな場合、売上減少の確定を待ってから融資を申し込んだ方がよりメリットの大きい制度が適用できる可能性があります。
たとえば、3月は前年比3%減であるが4月は前年比15%以上の売上減少となる見込みの場合、4月の売上確定後の申し込みであれば危機関連保証等が使える可能性があり、業績回復後に信用保証協会の一般枠が温存できます。
キャッシュの残高にまだ余裕がある場合には、上記のような冷静な視点も持ちつつ申込を検討されると良いかと考えます。
新型コロナ対策の融資金額のめやす
現時点での新型コロナ対策融資・保証における融資金額は、
- 月商の2〜3倍
- 月の運転資金の2〜3倍
がめやすという印象です。
借入過多の場合にはリスケも検討する
非常時とはいえ借入はあくまでも借入です。借入をするということは後の返済負担が増えることにもなります。
経済産業省は、各金融機関等に対して、既存融資のリスケ(借入条件の変更=返済月額の減額)について、事業者の実情に応じて柔軟に対応するよう要請しています。
既に借入が過多の場合には、追加融資だけでなくリスケも検討すべきです。
最後に
ここは皆で情報を共有し、正しく理解し、制度を最大限活用し、ともにこの苦境を乗り越え、チャンスに変えて行きましょう。
INQでは次のような新型コロナ対策融資に関するご相談を承っています。
- 新型コロナの影響で今後の資金繰りが心配
- どの融資を使うべきか?
- どのタイミングで融資を受けるべきか?
- 起業したいけど今のタイミングでいいのか?
など、お悩みの方はぜひ融資に関する無料相談をご利用下さい。
お力になりたいと存じます。
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