韓国3大紙が暴いた文在寅・与党の「総選挙『反日』遊説マニュアル」の赤裸々な中身

韓国3大紙が暴いた文在寅・与党の「総選挙『反日』遊説マニュアル」の赤裸々な中身

4/11(土) 17:00配信文春オンライン
 韓国では、総選挙(4月15日投開票)を目前に控え、各地で選挙戦の真っただ中だ。

 新型コロナウイルスの影響で、街頭での派手な集会は有権者から敬遠され、韓国らしい賑やかな選挙運動は影をひそめている。そんな異例の選挙でも相変わらず健在なのが、「日本」というキーワードを使った対立候補への批判だ。

【画像】韓国の「美人過ぎる」議員も、今回の“親日派批判”の標的に

韓国3大紙が暴いた文在寅・与党の「総選挙『反日』遊説マニュアル」の赤裸々な中身

選挙戦で語られた日本は「あの時代」

 韓国の3大紙の一つ、「朝鮮日報」(電子版、4月6日)によると、左派系の与党「共に民主党」は、選挙戦スタート直前の3月末、「総選挙戦略広報遊説マニュアル」を作成し、同党の立候補者の陣営に配布していた。

 その中で、広報・遊説の指針として、次のように書かれていたという。

「国民らは今回の選挙を『韓日戦』と呼んでいる。日本政府には屈従的だが、韓国政府を非難するばかりの(保守系の最大野党の)未来統合党に審判を下してほしい」

 さらに、未来統合党について、「安倍(晋三)政権を擁護し、日本に何の批判もできない」と批判。さらに選挙の4大戦略の一つとして、「日本製品ボイコットなどを通じ、日本の輸出規制危機克服を先導した政府を強調」することが挙げられていたという。

 文在寅大統領を支える与党「共に民主党」が準備したこのマニュアル。選挙戦がスタートした4月2日前後から、現実の政治家の行動に反映されていった。文在寅大統領や与党の支持者とみられる人々が、ソーシャルメディアなど使って、未来統合党を次のように攻撃しはじめたのだ。

「未来統合党は土着倭寇(朝鮮半島に土着した倭寇の子孫)だ」
「土着倭寇を撲滅せよ」

 さらに、「国会議員国産化国民運動本部」「投票で親日清算」と大書した横断幕やポスターまで登場した。

 与党陣営の連合比例政党「共に市民党」のチェ・ベグン常任共同選挙対策委員長に至っては、今回の総選挙を「国内政治であるかのように偽装された韓日戦だ」と指摘。「『共に市民党』は義兵だ」と、自らを日本の朝鮮半島統治に抵抗した“抗日義兵”と位置づけた。

 与党に「親日勢力」と批判される野党・未来統合党。しかし残念ながら、野党も野党で「日本」と新型コロナウイルスを重ね合わせて、与党を批判している。ソウル市内の選挙区から出馬している未来統合党の候補は次のように語った。

「新型コロナウイルス問題は、壬辰倭乱(豊臣秀吉軍による『文禄・慶長の役』)を連想させる」

 そして、秀吉との戦争を避けられなかった朝鮮王朝第14代の王「宣祖(ソンジョ)」と文在寅大統領を重ね合わせて、「無能で、全国民を戦争の惨禍に陥れた」とまで罵った。また、「義兵らの活躍で戦争を終えた後、宣祖がしたことは『自分こそ最高の戦功者だ』という自画自賛だ」と付け加え、新型コロナウイルスの感染拡大が落ち着きつつある現状を「文在寅政権の成果」と宣伝している現政権を批判した。

争点でもない「日本」に触れるワケ
 今回の韓国総選挙での大きな争点は、新型コロナウイルスの問題と、相変わらず低迷が続いている経済問題だ。

 その中でも、新型コロナウイルスについては、毎日100人前後で増えていた新たな感染者が、4月10日の政府発表では50日ぶりに20人台にまで減少。その結果、文在寅大統領の支持率は好調で、世論調査会社「韓国ギャラップ」が10日に発表したところでは、支持率は57%で不支持(35%)を上回っている。支持すると答えた人の59%が、その理由として「新型コロナウイルスへの対処」を挙げたという。

 政党支持率も与党「共に民主党」が44%。最大野党の「未来統合党」の23%を大きく引き離している。現状ではよほど失策を重ねない限り、与党の敗北はないだろう。

 そんな中で、「対日外交」問題は、争点になっていないと言っても良いだろう。日本政府による対韓国輸出規制の厳格化措置が出された昨年夏に比べると、ずいぶん静かになっている。

 にもかかわらず、ウイルス感染問題を日本に無理やり結び付けてまで、政敵を攻撃する。こうした背景には、日本批判の「手軽さ」がある。歴史を絡めて日本を利用することは、長年何のためらいもなく行われてきたことだからだ。

 その上、日本を悪く言ってもごく少数を除けば、誰も反対しない。日本統治時代を知らない世代が国民の大半を占めるようになった昨今は、その傾向がより強くなった感がある。現に、ソウルの日本大使館前や街頭での反日集会を取材していると、そこに参加している若者たちは日本に憤りを感じているというより、まるで日本批判を楽しんでいるような雰囲気なのだ。

 もちろん、何かあればすぐに日本を持ち出す政治家を、冷ややかに見ている韓国人も少なくはない。ただ、日本との歴史問題を出されれば、一般の多くの韓国人は本音はともかくとして、日本を否定するような反応を示すしかない。「日本」を持ち出せば、相手を黙らせることができるのだ。

『反日種族主義』を読んで武装した戦士?

 4月9日には、「親日政治家の審判を」と訴え、落選運動を始める市民団体も登場した。

「中央日報」(電子版、4月10日)によれば、700余りの市民団体が集まった「安倍糾弾市民行動」は記者会見を開き、総選挙の候補者のこれまでの言動を点検し、「落選対象者を選定した」と明らかにした。

 この組織は各候補に公開質問書を送付し、「親日清算のための立法活動をする意志があるか」を検証。歴史歪曲発言を行っていないかも調べたという。

 その結果、保守系野党・未来統合党を中心に8名の「落選させるべき政治家」の実名を公表し、一人一人について“評価”した。

「必要に応じて日本自衛隊の入国を許可」(黄教安・未来統合党代表)
「分別のない親日フレームの執着、子どもじみた政治」(羅卿瑗・同党、元自由韓国党院内代表)
「『反日種族主義』を読んで武装した戦士」(沈在哲・未来統合党院内代表)

 与党が優勢な情勢に、危機感を募らせる保守系野党。その野党にとどめを刺すかのような「親日批判」が、今日も展開されている。

名村隆寛(産経新聞ソウル支局長)/Webオリジナル(特集班)

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