大航海時代 アジア侵略

★アジア

・なぜアジアが狙われたのか
アジアが狙われた一番の理由は、アジアには豊富な香辛料があったからです。
当時、天然痘やコレラ、チフスなどの死病は臭いがもとで広がると考えられていたため、香辛料にはそれらの臭いを消してくれる作用がある、「万能の薬」と信じられていました。
大航海時代は香辛料の価格が驚くほど高く、たとえばコショウには、金と同じ価値がありました。
「魔法の粉」と呼ばれた香辛料を求めて、欧米各国はアジアを次々と侵略していくことになります。

・ポルトガルの東洋貿易独占時代
インド航路をはじめて開いたのはポルトガルのヴァスコ・ダ・ガマです。アジアに最も早く到達したポルトガルは、以後およそ百年にわたり、莫大な利益を生む東洋貿易を独占しました。
1505年にはセイロン島を侵略し、1510年にはインドのゴアを、その翌年にはマラッカ王国を征服しています。
ローマ法王から東洋に関する政治的・経済的・宗教的な絶対優越権を与えられていたポルトガルは、東洋貿易を独占することで国力を大きく伸ばしました。他国がこの独占権を脅かそうとすれば海軍力を盾に武力で排除する姿勢を見せ、利権を守り抜いたのです。

・スペインによるフィリピン侵略
スペインも、マゼラン船団が大西洋を西に向かうことで太平洋に出ることに成功します。マゼランもコロンブスと同じように、上陸した各地で虐殺と略奪を繰り返しながらフィリピンに到達しました。
セブ島に上陸したマゼランは、圧倒的な武力を背景に小高い丘に十字架を立てました。スペイン国王のためにこの地を占拠したという証です。
スペインはフィリピンに遠征隊を送り、1571年にはマニラを占領し、スペイン国王フェリペ二世の名にちなんで「フィリピン」と命名しました。フィリピンはスペインの植民地とされ、以後330年にわたり支配を受けることになりました。

・オランダによるインドネシア侵略
インドネシアには当時、小さな国が乱立していました。オランダは香辛料を求めてそれらの国に立ち寄り、住民を殺害しては香辛料を力尽くで奪っていました。
オランダは本格的な貿易をするため、1619年ジャワに世界初の株式会社といわれるオランダ東インド会社を設立し、アジア侵略の拠点としました。会社とはいえ軍隊をもち、貿易・軍事・外交・行政の独立権を本国から与えられていました。
インドネシア領有をめぐってポルトガル・イギリス・フランスの軍と戦って打ち破り、その地に栄えていたイスラム王国を次々と征服し、オランダ東インド会社は17世紀中頃にはインドネシアの植民地化に成功しました。

オランダの植民地支配を受けるようになったインドネシアでは、330年もの期間愚民化政策が実施されました。下手に教育を施せば、自分たちのおかれた状況が理不尽なものだと気づかれ、団結して反乱を起こされるリスクが生じるため、オランダを愚民化政策へと走らせました。
インドネシアでは人種により階級は3つに分かれていました。一番上がオランダ人などの欧州の白人、二番目が商業や貿易を独占していた中国人、最下層が現地人にあたるインドネシア人でした。インドネシア人は奴隷民族として扱われてきました。

インドネシア最後の抵抗 ジャワ戦争
1825年から30年にかけて、白人たちの身勝手な振る舞いに怒ったインドネシア人が蜂起し、ジャワ戦争が起こりました。この抵抗戦争は、オランダが経験した最大規模の戦争の一つに挙げられるほどでした。一時は劣勢に立たされたオランダが盛り返し、抵抗戦争は鎮圧されました。ジャワ戦争によりジャワ全土で20万人の死者が出たと記録されています。

ジャワ戦争の報復としてオランダはインドネシア人に、ヨーロッパで高く売れるコーヒーやサトウキビ、タバコやコショウ、藍などを強制的に栽培させ、ヨーロッパに大量に輸出することで、莫大な富を築きました。
強制栽培の結果米の生産が一気に減り、大規模な飢餓が人為的に引き起こされ、数十万とも数百万ともいわれるインドネシア人が餓死したといわれます。
オランダの植民地政治家バン・デーフェンテルは、著書「道義の債務」のなかで、植民地の民は「オランダ人の激甚なる略奪と過酷な迫害で悲惨にも死に絶えんとしている」と綴っています。

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