韓国、最愛のドイツが“G7参加”に反対…こだわる文在寅への冷めた視線

韓国、最愛のドイツが“G7参加”に反対…こだわる文在寅への冷めた視線
8/4(火) 8:00配信

デイリー新潮
「ドイツを見習え」という韓国の常套句の意味
日本はもちろんドイツにもフラれて…

 事あるごとに日本に謝罪と賠償を要求する韓国の常套句に、「ドイツを見習え」というのがある。ナチスの蛮行を謝罪したドイツを見習って、日本も韓国に謝罪せよという意味で使われている。そんなドイツは日本に続き、韓国の「先進国首脳会議(G7)参加」に反対を表明した。米トランプ大統領は5月、米国が議長国となる今年のG7にロシア、オーストラリア、インド、韓国を招待し、G7をG11やG12に拡大したいと話していた。文在寅大統領は6月1日に米トランプ大統領と行った電話会談で嬉々として招待に応じ、韓国が世界秩序を導くリーダーの一員になる淡い期待を抱いたのだが……。

 ドイツは韓国人の間で人気が高い。就職難が続き多くの若者が海外就職を目指す今、ドイツは、日本、米国、シンガポールなど近隣や英語圏に続いて人気が高い国である。欧州に限れば「ドイツが唯一」といって良いほどだ。また、20代の韓国人を対象に行った「生まれ変わったときに住みたい国」のアンケートでもドイツと答えた人が1番多いほど、ドイツ愛はとても強い。

 一方、韓国人に愛されるドイツの方ではどう思っているのだろうか。英BBCが不定期に行っている国家イメージ調査がある。2013年の調査で韓国を嫌っている人はドイツが一番多かった。ドイツは65%が韓国に否定的で、2位フランスの47%を大きく上回った。絵に描いたような片思いだ。

 2013年は李明博元大統領の竹島上陸に続く朴槿恵前大統領の告げ口外交がはじまった年で、日本の嫌韓も28%に上ったが、ドイツの嫌韓は、その日本よりはるかに多かった。2017年にはドイツの嫌韓は32%に下がったが、韓国を好きと答えた人は11%で、調査を行った国のなかで一番低かった。

ドイツの謝罪はナチスが“ドイツ”の名で行った行為に対するもの
日独の深いパートナーシップ

「ドイツを見習え」は朝日新聞が行ったキャンペーンで、韓国は朝日新聞の慰安婦キャンペーンとセットで便乗した。朝日新聞が吉田証言を虚偽と認定して慰安婦問題も提起を撤回し、ドイツを見習えという論調をやめた後も、韓国は一つ覚えで続けている。

 1946年、第2次世界大戦の戦勝国がニュルンベルク裁判でドイツを裁いた。東京裁判と同様、戦勝国が敗戦国を裁いた軍事裁判で、戦勝国が戦犯と考える敗戦国の被告に判決が下されている。西ドイツはその後も、60年代からニュルンベルク裁判で処罰を逃れた旧ナチス党員の裁判を開始して有罪判決を下していった。

 韓国は「ドイツを見習え」といって日本に謝罪と賠償を請求するが、ドイツの謝罪はナチスが“ドイツ”の名で行った行為に対するもので、補償対象も国内のナチス被害者に限っている。現在のドイツはナチス後に成立した別な国だという考えで、ドイツはポーランドやチェコなど周辺国の賠償要求には応じていない。

 2019年、ポーランドは第二次世界大戦時に受けた被害に対するドイツへの賠償要求を再開。ポーランドは旧ソ連の影響下にあった1953年、ソ連と東ドイツの賠償免除協定で、東ドイツに対する賠償請求権を放棄させられている。

 西ドイツは1970年にポーランドと国交正常化条約を結び、借款提供などの経済支援を行った。さらにドイツ企業6500社が、財団を通じてナチスによって強制的に動員されたポーランド人48万人余りに補償金を支払った。

 ポーランドでは先の大戦においてユダヤ人300万人を含む600万人が亡くなるなど、この国はナチスによる最大の被害国である。しかし、ドイツ政府による賠償は行われていない。ちなみに同じく19年、ギリシャ議会もまた、第二次大戦中にナチス・ドイツから受けた損害賠償をドイツ政府に要求することを可決している。

ドイツに見習うなら条約白紙、金銭は利子をつけて返却がスジ
韓国の康京和外相

 日本は1965年の日韓基本条約、1972年の日中共同宣言に続く日中平和友好条約をはじめ、ロシア(旧ソ連)を除く第2次世界大戦の関係国と講和条約を締結している。一方、ドイツは1990年の東西ドイツ統一の際に米英仏ソとドイツ最終規定条約を締結したが、他の国々とは第2次大戦後の講和条約を締結していない。

 韓国の主張通り、ドイツに見習うなら、日韓基本条約を白紙に戻して日本が支払った金銭は利子をつけて返してもらわなければならないことになる。物価上昇は当然加味しなければならない。

 米トランプ大統領が、G7に韓国を含む4か国の招聘とG7の拡大を提案し、日本が真っ先に反対を表明したとき、韓国はたとえ日本が反対しても他の国がトランプ大統領の意見を受け入れるはずだとして、G7に出席する準備を進めた。

 G7のゲスト招聘は議長国の権限で、日本とドイツが反対しても、トランプ大統領が招きたいといえば、4か国は正式なメンバーではなく、ゲストとしてなら参加できる。しかし、G7の拡大となると全加盟国の同意が必要なため、韓国がメンバーに加わることはない。

 ドイツ、英国、フランスはロシアの参加に難色を示す一方、韓国には言及しないが、韓国を認めているのではなく、関心がないだけだ。

 ドイツでは現在ベルリン王宮の復元が進められている。18世紀に建造され、第二次世界大戦で被弾した後、旧東ドイツ政府が取り壊した建物で、民族学博物館やアジア美術館、ベルリン市博物館などが入り、今年中の開館を予定している。

 日本、中国、韓国の遺物を展示するスペースも設けられるが、韓国館は日本館や中国館の10分の1の面積に過ぎない。日本と中国の展示品は数千点集めたが、韓国の遺物は160点余りしかないという。

韓国語で「文在寅」「問題人」の発音はどちらもムン・ジェイン
 韓国に対する認識は、朝鮮は19世紀まで中国の属国で、1910年から45年まで日本の統治下だったため古代文化は不十分というものだ。韓国館の担当は、韓国の古代遺物は、中国、日本と違ってお粗末で展示する価値がないと判断した。

 韓国は、「日本は日韓関係に起因して韓国のG7参加に反対し、ドイツや英国はロシアの参加に難色を示すが韓国の参加には反対していない」と勘違いしている。

 しかし、米トランプ大統領は中国を取り囲む国の招聘を目論んでいる。G7メンバーは4か国の招待が中国を刺激することを懸念し、また中国にゴマを擦り続ける韓国がG7と一枚岩になりえないだろうことも懸念する。

 いま文在寅政権の経済政策や外交政策が稚拙だと認識しているのは、日本、中国、米国くらいだろう。しかし、G7拡大案はメンバー各国が注目しており、韓国がG7にこだわれば、すべてのメンバーが文在寅政権のレベルを知ることになる。

 そのことに気づかないのが文在寅の「問題人」たる由縁である。韓国語で「文在寅」と「問題人」は、スペルは多少異なるが、発音はどちらもムン・ジェインである。

佐々木和義
広告プランナー兼ライター。商業写真・映像制作会社を経て広告会社に転職し、プランナー兼コピーライターとなる。韓国に進出する食品会社の立上げを請け負い、2009年に渡韓。日本企業のアイデンティティや日本文化を正しく伝える必要性を感じ、2012年、日系専門広告制作会社を設立、現在に至る。日系企業の韓国ビジネスをサポートする傍ら日本人の視点でソウル市に改善提案を行っている。韓国ソウル市在住。

週刊新潮WEB取材班編集

2020年8月4日 掲載

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