③オランダの台頭 (1600年代中盤)
コロンブスがアメリカ大陸を発見してから約100年間、スペインとポルトガルが世界中で植民地を拡大し、アフリカ人の奴隷化や中南米に置ける激しい搾取を行ってきましたが、この2国の植民地争奪戦は、最終的にスペインがポルトガルを併合することにより終焉を迎えます。
1600年代の中頃から、この二国に代わってオランダが大々的に世界進出し始めることになります。
▼オランダの世紀
1600年代初頭、スペインに領有されていた現在のオランダが、イギリスの協力を得て戦争を起こし、独立を勝ち取ります。(オランダ独立戦争)
その独立戦争をきっかけにして、それまで世界の植民地化を主導してきたスペインが衰退をはじめ、勢いを得たオランダが国外への進出を開始します。
オランダはまず、カリブ海の島々やアメリカ大陸の北部の植民地化に着手しました。
アジア方面へも積極的に進出し、東インド会社というアジアでの植民地政策を円滑に実行に移すシステムを確立します。これによりオランダは、インドをはじめとする、スペイン・ポルトガル領だった国々の領有権を次々と奪い、インドネシアのジャワ島などを拠点に、台湾や日本まで触手を伸ばしました。
▼イギリスとフランスの台頭
1600年代中盤以降、オランダは度重なる英蘭戦争に敗れ、その勢いも衰えてくる一方、オランダを敗ったイギリスと、小規模ながら海外進出を開始していたフランスが勢力を拡大してきました。
イギリスへの対抗心を燃やすフランスが、いまだ植民地化されていない土地を我先に奪取しようとしたため、この両国による、アメリカ、アフリカ、そしてアジア地方の植民地争いがさらに激化してゆくことになりました。イギリスとフランスとの戦争はおおむねイギリスが勝利し、徐々にフランスの勢力が衰えを見せはじめ、イギリスが覇権を手中に収めます。
この両国もアフリカで黒人を奴隷化して米大陸へと連行し、彼らを米大陸の開拓に従事させ、そこで得られた富を本国へ送付するという、「三角貿易」でとことん荒稼ぎをしました。
イギリス躍進の背景には、海外の植民地で得た莫大な資金をもとに成し遂げた産業革命がありました。この工業革命によって、イギリスをはじめとする欧米諸国は、いっそう強力な移動手段(蒸気機関車や蒸気船)と近代的な銃火器(兵器)を手にすることとなったため、欧米以外の国々との間の武力格差がさらに開き、植民地化も容易になったのでした。
大航海時代以後の西欧人は近代的な軍隊により世界の大半を侵略、植民地化していきました。
有色人種の住む島を侵略する際の表向きの大義名分は、キリスト教の布教活動です。原始キリスト教では異教徒を悪魔同然とみなします。
植民地支配を正当化するため西欧人の優勢が主張され「白人が、非白人に文明を与えるのは義務である」とされました。この優位性は、「白人こそが最も進化した人類である」「白人でなければ人間にあらず」といった究極の白人至上主義となり、有色人種の文明はもちろん人権さえも認めず、白人による有色人種の殺戮と略奪を正当化していきました。
大航海時代以後白人が世界を支配し、自分たちの価値観で歴史を作り上げ、世界を洗脳してきたため、今日においても白人が犯した犯罪行為は糾弾されることもなく、新しい時代を切り開いたとして歴史の中で美化されたままでいます。
新大陸の発見により、インカ帝国やマヤ帝国は滅亡し、アメリカインディアンの土地は奪われ、アフリカ人が奴隷として欧米に連れていかれた。アジアでは多くの原住民が農奴として苦しい生活を送ったなどと言っても、実際どのようなことが行われたのか具体的なイメージが湧きません。
次からは欧米人が、自分たちの正義を行うために、有色人種に対して実際どのようなことが行われたのかの詳細を見て行きたいと思います。
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