外国人就労無期限に 熟練者対象農業など全分野

日本経済新聞の記事の概要です。
出入国在留管理庁が、人手不足の深刻が業種14の分野で定めている外国人の在留資格、特定技能について、2022年度にも事実上在留期限をなくす方向で調整していることが17日入管関係者への取材で分かりました。
熟練した技能があれば、在留資格を何度でも更新可能で、家族の帯同も認めるとしています。
これまでの対象は建設など2つの分野だけでしたが、農業・製造業・サービス業などさまざまな業種に広げるとしています。
ただ自民党の保守派などの間では、外国人の長期就労や永住の拡大は、事実上の移民受け入れにつながりかねないとして、慎重論が根強いということです。

飯田
この見出しからしても日経新聞だなって思わせるのは、外国人就労無期限に、熟練者対象っていうと、かなりの技能を持ったとか、専門技術者ってイメージじゃないですか。
ここでの熟練者っていうのは、例えば農業だったら農作業を何年間かやった人っていう意味です。
何らかの形で日本に入国してきて、今も認められている特定技能農業で入ってきて、3年間その農業の仕事をしたら、農業において熟練者になると見なすので、おそらくほとんどの人のイメージと違う熟練です。
この受け入れ拡大っていうのは、ものすごい、とんでもない次世代への負担になる。だから私は絶対に反対なんですけれども、ここで細かい話の前にちょっと面白いニュースがあります。

最近ベラルーシで、大きく話題になっているんですけれども、中東にベラルーシ経由でヨーロッパに行けば、簡単に入国できるぞという噂が回った。しかもそれがベラルーシそのものが流してたっぽい。
これ何をやるかって言ったら、どんどん中東系の移民をベラルーシに来させて、それをポーランドにバーンと送り出すんです。
そうするとポーランドは、食うに困っている人を野ざらしにしとくわけいかないので、それでものすごい行政のリソースとられています。
これは通称、「人権爆弾」って言うんですけど、移民を送りつけて、それによって社会を不安に陥れる。要するにポーランドに対する明確な攻撃なんです。
実際のところをこのニュースというのは、外国人がどんどん拡大していって、もちろん長期就労していくでしょう。中にむしろオーバーステイのような形で就労する方もいる。でもそうやって入ってきて、日本で生活困窮者になった時に、お前勝手に来たんだからのたれ死ねっていうのを、絶対やっちゃいけない。必ず人間の生きる権利、人権っていうのは非常に重要だからこそ入れちゃいけないんです。
これって入ってきてしまったら、それは本当に食べるに困っている、生活で困っているっていう状態になったら、やっぱり助けてあげる、これが先進国なんですが、そうなる可能性が高い人をわざわざ積極的に受け入れてどうするんですか。

これ実際に日本って一回経験しているんです。
1980年代に外国人労働者拡大事業がありまして、それによって製造業の労働者として、日本にいらっしゃった。特に日系人の方とかだと、国籍も取得しているから間違いなく日本人なんですが、その方々って正直母国で食えないから日本に来るわけです。日本でも言葉の問題とかあって、そんなに良い仕事に就けるわけじゃないんです。そして景気が悪くなったらクビになるんです。だからその80年代から90年代初頭の外国人、また日系人受け入れ事業をたくさんやったところ、今社会福祉費、たとえば彼らの生活困窮を支える費用とかで、小さい市町村とかだと、財政が完全に圧迫されている。
それを国家ぐるみでやるっていうのは、財政再建派の人ってすぐ次世代にツケを残すなと言う。これはもっとすごい付けを残します。

だからこそヨーロッパ、そしてイギリスはどんどん受け入れを制限し始めてる。いわゆる移民受け入れ先進国が、やべぇやっちまったと今思っていることを始めようとしているのバカじゃないかと思うんです。これはどうにかしてでも反対していかなきゃならないと思うんです。


この外国人政策の問題って、日本政府がやっていることはでたらめなんです。
これ皆さんご記憶かどうか、第2次安倍政権のわりと初期に、一度移民20万人受け入れっていう議論がなされたことがあって、これ経済財政諮問会議の小委員会みたいなところで、そういう人口を維持していくために、毎年移民20万人受け入れないといけないと提案が出されたことがあったんです。
そのときに猛批判が起きて、その後安倍総理は移民は検討しませんと言い続けるようになったんです。
ところが実際に何が起きているかと言うと、なし崩しで単純労働の外国人労働者を受け入れて、安倍政権の間に何が起きたかというと、外国人労働者の数、年間17万人平均で増えてるんです。
移民20万人やらない、大批判されてもうやりませんと言ったんだけども、実際にはそれぐらいの数を受け入れているというわけです。その年間17万人のうち、どういう人たちが占めているかというと、日本政府はこれ建前では高度な人材は受け入れます。単純労働の外国人は受け入れませんっていう言い方をしているんですが全然嘘で、その半分は技能実習。技能実習って本当は制度としてはODAだから、途上国の技術のない人を日本に受け入れて、技術を身に付けて帰っていただきますという仕組みなんです。だから一番レベルの低い人です。

それからもう一つが留学生のアルバイト。
本当は日本人学校に来てるってことになってんだけども、制度上週に一定期間はアルバイトができることになっていて、この近くのコンビとか飲食店なんかで見る外国人の方々ってそういう方が多いです。
これももちろん学校にいる間だけ日本で働いてる人で、それで技術が一定程度身に付いたら帰って行かれる方ですから、一番レベル低いわけです。
実態としてはもう移民は受け入れてるんです。しかもその単純労働に近いところで受け入れてきたっていうのが、これまでのなし崩し外国人受け入れの実態。

なので僕はもう正面から移民政策の議論すべきだと。なんでかというと、移民政策って移民という言葉を聞いた途端に、なんかとんでもないことが起こるぞって思う人がいるんだけども、本来の移民政策というのは、その国のためにどういう人材を受け入れるのか、その受け入れた後に、その人が本当にその社会に溶け込んで活躍ができるのか、これを見極めて長期的に在留する人をどう決めていくのか、これも基準をきちんと作るっていうのが移民政策です。
これを移民政策やらないって言ってなし崩しでやってるんで、最悪だと思ってます。

長谷川
これ熟練者対象ってあるんだけど、実は冒頭でチラッと出てきたけど、実は熟練者とその家族もなんです。家族なんだから実はかける3と、掛けるようになってくるんです。
そこのところが一つあるのと、今なし崩しとかでダメだっていう話があったけど、アフガンで日本のために農業支援とか、そういうことをやってくれた現地のみなさんがたくさんいらっしゃる。ところが8月にタリバンが侵攻した時に、この方達をどうするかというのが大議論に、世界中でなったわけです。日本に限らず。
ところがそのときは日本は非常に出遅れたんです。出遅れたが結局最後自衛隊の飛行機出したけど、連れて帰ってきたのは1人だけだった。

だからこの冒頭の話だと、いかにもこの外国人に優しく、なんでも受け入れますよって言ってるように見えるかと思えば、実はこのアフガンのところではまったく逆で、逆に門戸を全く厳しくして、結局全然引き受けてない。それも大きな理由は家族の問題なんです。本人は日本政府のために働いたから受けられたとしても、家族はどうするんだよと。家族が来た時に、例えば4人家族で来たときに、その4人の生活はどうやって面倒見るんだ。
これが実は外務省の中ですったもんだすったもんだして、結局判断できず、どんどん出遅れ、結局最後は手遅れということになっちゃった。
この移民とか外国人を受け入れるということがどういうことなのかっていうことについての原理原則が全くない。

有本
岸田さんの政権が産業に関して一体何を考えてるのかって話なんですけど、出てきたのが移民の拡大です。
この就労外国人の特定技能 1号、2号という、この在留資格を入れるというのは、2019年に安倍政権の時に始まったんですけれども、その時もこの番組で大反対しましたが、一体これどうなってますかという話で、ちょっと間違ったことがいろいろ流布されているのは、今回特定技能2号についてその上限を撤廃する、でも特定技能2号っていうのは、現実今いないんだからあまり問題ないんだ、大騒ぎするなとか言ってる人がいるんですけど、そういう話じゃないんです。

そもそも現状こうなってますってのを表にまとめてるんですけど、特定技能 1号というのは、ある程度の日本語能力があって、そして特定分野14分野に対して、仕事をしてもらうという人で、家族の帯同は不可なんです。
今はこの人たちしかいないんです。この人たちが例えば5年ぐらいこういう仕事をやりました。で熟練してくるじゃないですか。そうすると特定技能2号っていうところに行くわけです。
ですから今のところは確かにまだいないんですけれども、それを今年2021年には、この制度に関しても、もっと細かく条件を決めて、要するに交付を始めるための準備をしますという風に2019年の時点で決めてたんです。ですから数年後を見据えて特定技能2号に関しても、可能性をどんどん広げていくっていうことは、安倍政権の時から言ってたんです。

今回それですごく問題なのは、この対象分野というのが14業種があります。でもこれも最初は30分野以上を想定してたんです。ところが我々も含めて相当世論が反発したんで14分野に絞り込んだんです。30いくつって言ったらほとんどの業種みたいな話になっちゃうだろっていうことで、だいぶ言ったんでこれは14になったんです。
特定技能2号に関しては、もともと2分野しか対象じゃありませんと言ってたのを、今回この特定技能1号と同じ14分野まで広げるって言ってるじゃないですか。だから特定技能1号の人が入ってきている分野は、全部特定技能2号がありますよと次が用意されます。こういうことになったわけなんです。
それで確かにこの時点でも特定技能2号まで行く人っていうのは、そう滅多にいませんよということを言ってたわけなんですけれども、要するにこの特定技能2号になれば、家族の帯同を一応可能だと言ういうことと、それから在留期間については特に上限を設定しないで、何回も更新ができますよと、で今回はさらにこの特定技能2号の人というのは、永住権を取ることが可能になる道なんだということまで言っちゃったんです。

だからこれを早々に閣議決定しようということは、他の部分もどんどん緩めていく可能性があるんです。
さっき言ったみたいに14分野というふうに言っている1号に対して、2号はたった2分野だけですよって言ってたのを、今回はちゃんと呼応させるように14分野にするわけです。ということはおそらく特定技能1号の方も、今後最初いってたみたいに、30分野に向けて少しずつ開けていきます。
政府は向こう5年間で30万人入れるって言ってたんですから、最初この新しい在留資格を使って、それをあまりにも世論の反対が強かったので、やっぱり結構縮小したんです。

我々はこれについては、ヨーロッパの現場なんかを見て、ダメなんだっていうことを言い続けなければいけない。
どうやって日本国名で、特定分野に関しても人手が足りないという問題をどうやって解決していくのか、そして外国人を受け入れれば、安い労働力だと言いますけど、実際には自治体やなんかで、いろんなプログラムが必要になって、そこに公金が注ぎ込まれるんです。
その全体のコスト構造を考えると決して安くないんです。
だから人が集まりにくい分野に対して、何らかの助成金を出して、そこの賃金を上げていくという方向で、日本人を確保するようにしないとダメなんです。
だからこの構造を、思考を政治家で変えてもらわなきゃいけないので、この閣議決定をやっぱり何としても本当は止めたいです。

だから雪辱戦なんです。きっと今の自民党政権にとってみれば。要するに2年前に、実際は3年前ですけど、起案されたのは。その30数万人規模で5年内で受け入れるって言ったものを、あまりにも反発が強かったから縮小した。分野も縮小した。これに対して今回はじわじわっと、少しずついろんな形で開けていこうとこういうことです。
へんなこと言うなと思うのは、例えば特定技能2号に関しては、対象者がいないんだから、別に緩和したところで大したことないだろうっていう人がいるんだけど、対象者が未来永劫いないんだったら、開ける必要もないじゃないですか。やっぱりいるんです。
だからこれは非常に問題があって、例えば一時的にどこかの分野を外国人の方に負ってもらわなきゃいけないかもしれないけど、それはちゃんと帰ってもらうという制度設計にしておかないとダメです。

竹田
批判の多いものを、こんなちっちゃいから大丈夫ですよと言って始めておいて、ちょっとずつ拡大していく。これも詐欺師の常套手段ですから、そもそも始まっていけなかったもので、これ結局人口が減っていく中で、年金も確保していかなきゃいけないからって言って、財務省の肝いりで。
当初は移民ではないという話でした。それが蓋開けてみたら、数年で移民じゃないですか。だから家族も連れてきて、永住権も取れるで、10年以上いたら国籍も取れちゃうわけですから。世界の潮流から完全に逆行してるわけじゃないですか。それやって駄目になっちゃったのがメルケルだったりしたわけで。イギリスなんかは移民をこれ以上入れられないからといってブレグジットやったわけです。
ですからヨーロッパでは非常に移民問題というのは、当初はウェルカムだったものが、一気に閉ざされたということがあるわけです。人口が減るからじゃあ入れりゃいいじゃんって、そんな安易なことありえないです。今コロナで人手余ってるわけです。もちろん辛いとか汚いとか、日本人がなかなか行かない業種もあるんでしょう。でもそれ補助金を入れてでも、待遇を改善すれば、結局同じような経費を払って外国人入れるんだったら、まず日本人にできることをする。そうじゃないとニートとかが増えてバイト先がない。何ヶ月も経ったらもうそのままになっちゃったりすることもありますから。
なので人口対策に移民ありきっていうこの発想は、非常に貧弱だと思います。万策尽きた上ならまだしも、何もせずにいきなり飛び道具で人口だけ強引に確保するっていう話になっちゃうわけです。

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