今こそ読むべき 五箇条の御誓文

今こそ読むべき五箇条の御誓文
なぜ今こそかといいますと、慶応4年の旧暦3月14日、西歴でいうと1868年の4月6日。
この日に『五箇条の御誓文』が国民に示されたわけです。
それにちなんで今日は『五箇条の御誓文』をしようと思います。

『五箇条の御誓文』とはどういう内容なのか、どういう意味があるのか、どんな意義があるのかってなると、忘れてる人が多いと思います。ほんとは『五箇条の御誓文』こそ教育でしっかり教えないといけませんので、今日はこの機会に『五箇条の御誓文』について掘り下げてみたいと思います。

歴史的に見ると、『五箇条の御誓文』が出された前の年、慶応3年、1867年はこんな出来事がありました。
『大政奉還』、そして『王政復古』の大号令。
これは歴史を勉強すると必ず出てくるところですけども、『大政奉還』というのは、徳川幕府、当時の徳川慶喜将軍が、その大政・政治のあらゆる権限を、朝廷にお返しするということをしたわけです。これが『大政奉還』です。
平清盛が武家政権を最初に立てたわけですけども、そこから約700年の武家政権が終わりを告げたのです。
平清盛が壇ノ浦で敗れ、平氏滅亡ということになるわけですけども、その時に3種の神器のうちの剣が失われてしまいました。もちろん熱田に原本があるので、原本が失われたわけじゃないんですけども、剣が失われることによって、軍事は皇室から外れたみたいになり、機運として武家政権が成立して、武家政権が今後も続いていくということを、示したんじゃないかと言われてますけども、まさに武家政権が終わったのがこの『大政奉還』になるわけです。
そして政治のあらゆる権限は、朝庭に返上されるということになるんですけども、その後も幕府は存在するわけです。
慶喜の面白いところは、奉還した上で、自分たちはどんなポジションに就けるのかなみたいなのがあったわけですけれども、これが新政府が作られてくると、徳川は外されて行くわけです。
それを正していくために倒幕派が朝廷を動かす。
そして出されたのがこれです『五箇条の御誓文』。
ですからこれもクーデターに対して、今後の政治の筋道っていうのはこうあるべきだっていう、基本的な事を示すということになってくるわけなんです。

そして『大政奉還』から2ヶ月後、『王政復古』の大号令が出され、まさにクーデターをクーデターで返すようなものですから、誰もがあっと驚くような感じになったわけです。
そこで徳川は出る幕がないということになるわけなんです。
この王政復古の大号令というのは幕府を廃止する。
それと朝廷政治の基本だった摂関政治、摂政、関白、これも廃止するというような改革が行われていくわけなんです。
そして明治新政府というものがどういうものかということが出されていくわけなので、そこで幕末の動乱を経て、政治が安定してくると、ここで『五箇条の御誓文』が出される。

『五箇条の御誓文』ですけど、明治天皇自身は明治元年の段階で13歳14歳くらい、中学生に上がるか上がらないかぐらいとまだ若いですから、『五箇条の御誓文』そのものを明治天皇がお書きあそばしたということはないわけなんです。
これはもちろん家臣、おそらく岩倉具視が書いたんですけど、王政復古の大号令を岩倉が書きましたから、基本的に岩倉です。天才的頭脳を持っていますから。
どういう風にして作られたかというと、何も新たに創作したわけじゃなくて、聖徳太子の十七条憲法の、個々の要素を抜き出しただけです。だから新しい価値観を出したというよりも、日本人の精神的原点に立ち返ろうっていうことです。
だから『五箇条の御誓文』と言われても「だよね」っていう感じであって、「そっち行っちゃうの」って感じではなくて、「ですよねー」って、私たちそもそもそうですよねっていう、みんなが腑に落ちる内容だと思うんです。

具体的内容を見ていきます。
一番有名なところが一番最初です。
一番、「広く会議を興し、万機公論に決すべし」ということですけども、一応これ文語体ですけども、私の『天皇の国史』こちらにちゃんと現代語訳を載せています。
「広く会議を興し、万機公論に決すべし」というのは、広く人材を集めて会議を開き、重要なことは全て公に議論して決めましょうということです。

これを聞いて「そっちいっちゃうっ」て感じはないわけです。
日本ってそうだよねって話で、結局飛鳥時代に作られた聖徳太子の『十七条の憲法』も、冒頭は「和をもって尊しとなし」ということから始まります。
これは和が大切なんだよと、人々がいがみ合うのをやめましょうということで、冒頭を飾っているわけですけれども、17条憲法には冒頭以外にも、しっかり話し合いなさいっていうことが書かれているんです。

これ何も聖徳太子が発案したものじゃなくて、天孫降臨の前からです。
古事記では何かあるたびに神々が天安河原に集まって、いろいろ議論をして物事を決めてたわけですから、それで決まったら天照大神の名において詔が出されるわけで、いろいろな問題が高天原で起きるんですけども、独裁者のような神は現れないんです。いつもみんなで議論して決めるわけなんです。

さらに言えば、高天原で議論をして決めるっていう事は、多分地上でもそうだったわけです。
後々古事記に書かれるわけなんですけども、ヤマト王権が成立した時の人たちが神話を継承して、3世紀の纒向遺跡(まきむくいせき)でも合議制だったということがわかっているわけなんです。
日本中の遺跡の中で、最も搬入土器の比率が高いのが纒向遺跡で、日本中の土器が出るんです。地方の豪族たちが外交団を派遣するわけです。そして家財道具を持ってきて年単位で住むわけです。
だからニューヨークの国連本部みたいなものが、奈良にあったということがわかってるわけです。

だから物事を話し合いで決めるということを良しとしてた人たちだから、その人たちが神話を構築するとしら、地上は民主主義なのに、天上世界は社会主義とかはないわけで、自分たちのイメージをそのまま投影して神話に書いているということです。
だから天孫降臨前からそうだったと言ってますけれど、日本人も昔から皆で話し合いをして決めるというのを良しとしていただけで、独裁をよしとする思想は存在しないんです。
ですからもともとやってきたことが古事記に書かれ、17条の憲法にも書かれ、そして時を経て五箇条の御誓文に書かれ、それが次にどこに書かれるかというと『大日本帝国憲法』です。
ですから民主主義ってのは西洋から持ってきたなんていうのは大嘘です。邇邇芸命が高天原から持ってきたんです。日本は昔から話し合いをして政治をしてたんです。
昭和20年もありえないし、明治時代に文明開化で入ってきたものですらないんです。
『五箇条の御誓文』、これ聖徳太子の十七条憲法からきていて、これが大日本帝国憲法に乗っかり、それがそのまま現在の日本国憲法になるわけです。民主主義は国産なんです。

議会制、つまり総理大臣を置いて、閣僚を置いてとか、そういうような制度は西洋のものを採用しました。
議会というものも西洋のものを持ってきました。
でも民主主義という根本的思想は、もともと日本にあった。だからその手法を、このやり方使わせてもらいましょうっていうふうに、いいものを持ってきたわけなんです。
この一番とっても重要だし有効です。
私たちの今生きてる民主主義は、国産だということを理解していただけたと思います。

そして2番、これも基本的に同じ方向性のことを言ってるわけです。
「上下心を一にして盛んに経綸を行ふべし」これを現代語訳にしますと、「身分の上下を問わず、心を一つにして積極的に国家を収めましょう」ということ。

江戸時代は士農工商とかなんとか言ってましたけども、最近の研究では士農工商という4段階の階級があったわけではない。
武士がいて、あとは百姓と町人をまとめて、武士とそれ以外みたいな役割分担です。士農工商は秀吉が作ったもんですから、そんな歴史があるわけではない。
市民平等というのが明治時代のスローガンになりましたけれども、結局は『一君万民』ですから。
日本国内でも、国を制圧してって奴隷にしていったような歴史があるわけではないので、基本的に一君万民ですから、その原点に立ち返るわけです。
だから身分の上下を問わず、心を一つにして、みんなで話し合いをして、国を治めましょうということです。
1番と2番というのは、両方とも日本の原点に返るということであって、方向性は一緒です。

3番目「官武一途に至る迄 おのおのその志を遂げ 人心をしてうまざらしめん事を要す」
現代語にするとこんな感じです。「文官と武官だけでなく、国民もそれぞれ志を達成して、人々の希望を失わせないようにするのが重要である」ということを述べているわけなんです。
ですから日本の国の未来とかっていったら、官僚とかに任せきるんじゃなくて、日本人一人ひとりがそれぞれ志をもって達成するんだ。それによってみんなが希望がつながっていくんだということを言ってるわけで、一人一人に主権者意識じゃないですけども、国を背負っているんだという自覚を持ってくれということなんです。
これも日本人の精神的原点だというふうに言えます。

そして次4つ目です。「旧来の陋習を破り 天地の公道に基づくべし」と言葉はちょっと「陋習」とかも見られない漢字ではありますけれども、要は現代語にすると簡単な話です。
「これまでの悪い習慣は捨て、何事も普遍的な道理に基づいて行いなさい」と。
ですからなんでもかんでも戻れとか、なんでも守れではなくて、良くない習慣を捨てなさいと言ってるわけです。
そして本当にそれが正しいかどうか、普遍的な道理というものがあるから、それは果たして正しいのか正しくないのか、正しくないものであれば、昔からある習慣でも、それは悪弊ですから、それは捨てなさいということです。
江戸時代が終わって、明治時代に入ります。色々と何が真理なのか、何が普遍的価値なのかということを、みんなでそういう目を持って見て、悪いものは辞めて、正していきましょうと。
だからこの保守と革新が織り交ざっているというか、革新をしてこその保守ですし、ただただだ闇雲に古いものを守るだけが保守じゃないんです。これダメだなと思ったら辞める。普遍的な真理を見つけてそっちに立ち返る。これこそ保守だということなんです。

そして5番目です。
「知識を世界に求め 大いに皇基を振起すべし」
「知識を世界に求め、国柄を大切にして、国を発展させましょう」
皇基を振起とか言うと、天皇を守って皆死ねみたいな、そういう極端な訳をする人がいるんですけども、天皇を守るって言うことは、それは国柄を守るっていうことなんです。
天皇が国民を我が子のように愛し、その幸せを祈る。そして国民はそのような天皇の事を敬愛して、みんなで力を合わせて国に尽くしてきた。これが日本の国柄なので、その皇基を振起すべき五箇条の御誓文もそうだし、教育勅語もそうですけども、天皇を守ってみんな死ねみたいに訳す、趣味の悪い人が多いんですけど、そうじゃない。天皇を残して永遠に守ろう、つないでいこうっていうのは、これは日本の国柄を守っていこうということなわけです。

いまここに出たように、知識を世界に求めですから、もうここで分かるのは、まさに文明開化を言ってるわけです。
日本もいいもの持ってるけども、外国もいいもの持ってるから、いいものあったら取り入れなさいということです。悪弊を捨てることと併せて。
だから、五箇条の御誓文の趣旨というのは、基本2つなんです。神武創業の原点に立ち返るということと文明開化です。
外国の良いものは、昔だって遣唐使とか遣隋使とか、進んだ文化を取り入れてきたわけです。
明治時代も長く鎖国してましたから、西洋のいいものを取り入れる。
そしてそれを日本人が咀嚼して自分たちのものにしていく。
そういう原点に立ち返りつつ、いいものを取り入れてどんどん変えていくという、この一見矛盾するような2つ。
これを両立させていくというのが明治維新で、文明開化ばかりが取りざたされるんですけども、こう見ると比重は神武創業の原点に立ち帰るということです。
日本人というのは昔からこういう感覚を持っていた、それを大切にしようということを言っているだけなんです。

五箇条の御誓文というとこれだけじゃなくて、この後にも文章があります。
≪我国未曽有の変革を為さんとし 朕躬を以て衆に先んじ天地神明に誓ひ 大に斯国是を定め万民保全の道を立んとす 衆亦此旨趣に基き協心努力せよ≫

これ凄いのは、まず私がこれを実践するって言っているわけです。そしてみんなやろうと言っているわけです。
偉い王が国民に命令する話はよくありますけども、私はこれを立てて、まず自分が実践するからみんなでやろうということを言ってるわけです。
それから昭和20年8月に終戦を迎えます。
そしてのGHQが日本を統治するようになりまして、天皇に皇室の改革をする宣言をさせようとするわけなんです。
そしていわゆる人間宣言と言われるものが出されるんですけども、その冒頭、一番最初に出した昭和天皇の詔に、冒頭この五箇条の御誓文が出るんです。
なぜかというと、昭和天皇がこれから戦後の日本の国づくりを考えた時に、この五箇条の御誓文に基づいてやるべきだっていうふうに昭和天皇がおっしゃったわけです。
それをマッカーサーに読ませたら、マッカーサーが感動しちゃって、こんないいものあるんだったら、これを頭に付けたらいいんじゃないかということで、昭和天皇とマーカーサー元帥が意気投合して、新年の詔勅のど頭に五箇条の御誓文がバーンと新聞にも出たわけです。
ですからこの明治維新の時に国の礎を作るっていうのと、昭和20年焼け野原の中で、国の礎を作っていくんだという、時代は違えど、やっぱり日本人いざという時に原点に立ち返るという、そういうことが大切。

今本当に先行きが見えない、コロナの後の戦争、これから経済はどうなるのか、台湾有事、日本有事、いろいろあるんですけど、こういう激動の時こそ私たちは原点に帰る。五箇条の御誓文をしっかり読み解いて、原点に立ち返るということをことこそが、今私たちに必要なことなんじゃないかということです。
政治家官僚こそは『五箇条の御誓文』を読め!

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