文在寅が大統領である間、日韓関係は改善しないというこれだけの理由

文在寅が大統領である間、日韓関係は改善しないというこれだけの理由
8/9(日) 8:00配信
デイリー新潮

無職だった文在寅氏には時間がたっぷりあった

 朴槿恵前政権が立ち往生してから韓国が普通の大統領を選ぶチャンスは2度あった。朴槿恵前大統領の退陣要求が拡大し、韓国国会が朴前大統領の弾劾を決めた2016年12月前後と年明けの17年1~2月頃である。このとき、朴前大統領が自ら辞任していれば、文在寅氏が大統領に選ばれることはなかった。その外交音痴に始まって、日韓関係を最悪レベルにした大統領の資質を問う。

国連事務総長の潘基文氏は大統領ポストに王手をかけていた

 16年に次期大統領候補と目されたのは、同年12月に国連事務総長の任期を終えた潘基文氏だった。潘氏は反日寄りだが最低限の国際感覚はあるはずだ。

 このとき、在韓米軍への終末高高度防衛ミサイルTHAAD配備はすでに決まっており、中国との関係悪化は時間の問題だった。中韓関係が悪化すれば、韓国は日米との関係を強化するしかない。潘基文氏は反日寄りといえども無難な関係を築くしかない。

 年が開けると大統領代行を務めていた黄教安国務総理が候補として浮上した。機能不全に陥った国政を切り盛りした手腕への評価が高まった。黄教安氏の国務総理就任は15年6月で、日韓関係が改善に向かっていた時期と重なる。朴政権の方向性を踏襲しただろう。

 一方、当時の野党は17年3月まで候補者を絞っていなかった。安哲秀国会議員と李在明京畿道城南市長(当時)がリードしていたが、決め手に欠けていた。そんな中、文在寅氏が朴前大統領の罷免を求めるろうそく集会で反朴運動を扇動し、候補に浮上した。
 他の野党候補は公職があり集会に出られなかったが、無職だった文在寅氏には時間がたっぷりあったのだ。

 文政権誕生から2018年10月まで日韓関係は可もなく不可もない状態で、18年の訪韓日本人と訪日韓国人を合わせた日韓往来は1000万人の大台に達した。
 韓国では高級料理の第1次日本食ブーム、日本酒が牽引した第2次日本食ブームに続き、家庭料理やラーメン、丼など日常食を中心とした第3次日本食ブームが広がった。

平昌五輪の開会式で外交音痴が露呈した

ラーメン人気も上がるなど、日韓関係は春を迎えていたが

 一方、日本も韓流ドラマの第1次韓流ブーム、K-POPの第2次ブームに続く、韓国グルメを食する第3次韓流ブームに突入していた。ヨン様に熱をあげた女性の子が20代になり、そのヨン様ファンジュニアが韓流グルメブームを牽引した。
 子供の頃から韓国料理に慣れ親しんだヨン様ファンジュニアはB級料理に抵抗がなかったのだ。

 2017年5月、就任した文在寅大統領は、慰安婦合意を破棄し、日本政府が拠出した10億円を返還すると豪語した。
 しかし、韓国内の報道を受けた日本政府が、二国間の合意に基づいて支出した金銭は、韓国が返還したいと言っても受け取らないと発言すると文大統領は合意破棄と拠出金の返還を引っ込めた。
 文在寅大統領が公約に掲げた合意破棄は、朴槿恵前政権が行った政策への批判であり、反日というよりは国内問題だった。

 無難に思われた文政権の対日政策だが、平昌五輪の開会式で外交音痴が露呈した。
 韓国と関係が深い日米中ロのなかで、開会式に出席した首脳は日本の安倍首相ただ一人だった。出席者の顔触れから、外交儀礼上、安倍首相が最高VIPで、米副大統領が2番目と思われた。中国とロシアの首脳級は出席しなかった。しかし、文在寅大統領は、北朝鮮の金永南最高人民会議委員長と金与正中央労働党中央委員会副部長を最高VIPとして扱い、安倍首相と米国のペンス副大統領を気遣うことはなかった。

 文在寅大統領が開会式の前に主催した晩さん会では、日本、米国、中国と北朝鮮が文大統領夫妻と同じテーブルにつくことになっていた。それは、外交儀礼というより、日米と北朝鮮が接触する機会を作る思惑が強かったようだ。しかし、ペンス副大統領は北朝鮮の代表に一瞥も与えず、安倍首相は北朝鮮の金永南委員長に立ち話で拉致問題の解決に触れた程度だった。

 ペンス副大統領は平昌に向かう前に日本に立ち寄って安倍首相と会っており、北朝鮮への対応について話し合ったと思われる。日米代表は北の参加に不快感を匂わせ、北朝鮮と中国は共同歩調を取る日米の結束を再認識しただろうが、外交に疎い文在寅大統領が気づくことはなかった。

徴用工判決はスルーで、レーダー照射したのに謝罪要求

 その文在寅大統領の外交音痴が、日韓関係を悪化させていった。
 2018年10月、韓国の最高裁に相当する大法院が新日本製鉄(現新日鉄住金)に対し、韓国人4人に賠償金の支払いを命じる判決を下して日本政府が日韓基本条約違反だと抗議すると、文在寅大統領は司法の独立を言い訳に関与しないと逃げた。戦後補償は日韓基本条約の付随協定で放棄することが明文化されている政治問題である。

 翌11月には、文政権が慰安婦合意に基づいて設立された和解・癒やし財団を解散し、日韓関係はさらに冷えていった。

 翌月にはレーダー照射事件が起きた。2018年12月20日、海上自衛隊の哨戒機P-1が、平素の警戒監視・情報収集活動で日本の排他的経済水域(EEZ)を飛行していた。能登半島沖の日本海で、韓国海軍の駆逐艦と警備救難艦を確認し写真を撮影すると、その駆逐艦から、砲弾やミサイルを発射する前に目標の位置や速度を正確に掴むため使用する「火器管制レーダー」が照射された。

 韓国軍は当初、北朝鮮の船舶が漂流しているという情報があったため捜索しており、海上自衛隊の哨戒機が探知した信号は探索レーダーだと発表した。火器管制レーダーと探索レーダーは波形等が異なる。自衛隊は哨戒機が受信したレーダーと韓国軍のレーダーの照合を提案したが、韓国海軍はこれを拒絶し、さらにその後、日本の哨戒機が低空で威嚇飛行をしたと言葉を変えて、日本に謝罪を求める声明を出した。

 日韓関係がかつてないほど冷え切った2019年5月、韓国のマスコミが韓国の輸出管理の問題点を報道し、同7月1日、日本政府は韓国向け輸出管理を強化すると発表。同時にホワイト国からの除外を示唆した。
 日本政府は輸出管理強化の発表からホワイト国からの除外決定まで1か月、実際に除外するまで1か月半の時間を置き、韓国当局に輸出管理の強化に至った経緯を説明した。

土下座像を撤去すれば韓国の反日団体が黙っていない、自ら四面楚歌に陥るほかはない

 韓国が輸出管理の強化体制を構築し、日本政府が納得できればホワイト国除外は回避できたかもしれない。朝令暮改を得意とする韓国には十分すぎる時間があった。

 しかし、韓国政府はWTO違反だという世迷言を繰り広げて、市民団体の不買運動をはじめは放置し、次に扇動する言動を繰り返した。その結果、韓国の観光業や航空業を中心に経営が悪化し、倒産する企業や失業者が続出した。

 先月、江原道平昌の「韓国自生植物園」が謝罪像を設置した。江原道庁は外国人、特に日本人旅行者の集客に力を入れており、五輪が開かれた江陵と平昌の観光施設は行政が日本人向けPRを支援している。マスコミが取り上げた植物園は国内向けのPR効果はあったかもしれないが、行政や外国人相手の観光業者が客を連れていくことはなくなった。撤去すれば韓国の反日団体が黙っていない。自ら四面楚歌に陥るほかはない。

 今後、日韓関係はどうなるのか。文在寅が大統領である間は改善しないというのが、日韓ビジネス従事者の共通した見方である。
 韓国は北朝鮮や中国を牽制する上で重要な地理的環境にあり、安易な切り捨ては難しい。日本と米国、また普通の感覚を持つ韓国人は、問題人(韓国語で文在寅と発音が同じ)政権の終了を指折り数えて待ってはいるが、まともな人材はいるのだろうか。

佐々木和義
広告プランナー兼ライター。商業写真・映像制作会社を経て広告会社に転職し、プランナー兼コピーライターとなる。韓国に進出する食品会社の立上げを請け負い、2009年に渡韓。日本企業のアイデンティティや日本文化を正しく伝える必要性を感じ、2012年、日系専門広告制作会社を設立し、現在に至る。日系企業の韓国ビジネスをサポートする傍ら日本人の視点でソウル市に改善提案を行っている。韓国ソウル市在住。

週刊新潮WEB取材班編集

2020年8月9日 掲載

新潮社

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