⑳慰安婦問題

4-2 慰安婦問題

慰安婦とは、かつて主に戦地の施設で将兵の性の相手をした女性のことを言います。
歴史的に戦争において性暴力は、勝者への褒美、敗者への懲罰、また単なる快楽として行使されてきました。
そのため戦地における性政策は、兵士の士気を鼓舞するうえでも重要な一面を持っていました。
第二次世界大戦当時の戦地での性政策には、大別して自由恋愛型(私娼中心。イギリス軍、米軍)、慰安所型(日本、ドイツ、フランス)、レイプ型(ソ連)の3つの類型がありました。
スターリンは敵国の女性を戦利品とする「戦地妻」を容認し、「わが軍兵士のふるまいは絶対に正しい」と兵士を鼓舞したといいます。

日本軍の慰安婦は日中戦争の頃より日本軍の要請により民間の斡旋業者によって集められ、日本軍の占領各地の慰安所に派遣されました。
慰安所は軍の管理の下、民間人が経営していました。
多くは朝鮮人や日本人で、高額な報酬を得ており、報酬明細等も数多く発見されています。
しかし朝鮮では「性経験のない女性がその80パーセントは斡旋先が売春業であることを知らされずに外地に売られた」とする証言もありますが、朝鮮における斡旋業者は同じ朝鮮人によるものが多かったことがわかっています。
1976年には金一勉『天皇の軍隊と朝鮮人慰安婦』が出版され、その中で慰安婦の総数を20万人としました。
これ以降朝鮮から20万人の少女が強制連行され、従軍慰安婦となったといわれるようになりました。

①吉田清治氏

元旧日本陸軍軍人を自称する吉田清治氏は、1977年に出版された自著『朝鮮人慰安婦と日本人』(新人物往来社)で、慰安婦について、「慰安婦徴用」などの表現を用いたり、済州島で軍や面職員などの協力を得て、「狩り出し」を行ったとの記述をしています。
1983年7月には、戦時中済州島で自ら200人の女性を拉致し慰安婦にしたと証言する『私の戦争犯罪―朝鮮人強制連行』(三一書房)を出版しました。
吉田清治氏の証言に関しては、その内容が具体的だったため、済州島の現地新聞「済州新聞」の許栄善記者や、日本人研究者秦郁彦氏らが済州島で現地調査を行いましたが、裏付けが取れなかったどころか、当時を知る城山浦の住民から「250余の家しかないこの村で15人も徴用したとすれば大事件であるが、当時はそんな事実はなかった」「この島で人間狩りが起こったら大騒ぎになって誰でも知っているはずだが、そんな話は聞いたことすらない」との証言を得ています。
1983年11月10日には朝日新聞が「ひと」欄で吉田清治氏を紹介し、以後吉田氏を計16回取り上げて報道しました。
1991年には、金学順が韓国で初めて元慰安婦として名乗り出て、自らの体験を語り、日本政府を訴えるに至りました。この過程も、韓国メディアより先に朝日新聞が報道しました。
その騒動の中で、首相訪韓の直前、「慰安所」への慰安婦たちの移動に軍や公的機関が便宜を図る資料についての報道があり、宮澤首相は、韓国で謝罪を繰り返し、さらに翌年、河野洋平官房長官が慰安婦問題についての談話、いわゆる『河野談話』を発表することになりました。

1996年になって吉田氏自らが週刊新潮のインタビューに答えて「本に真実を書いても何の利益もない。関係者に迷惑をかけてはまずいから、カムフラージュした部分もある。事実を隠し、自分の主張を混ぜて書くなんていうのは、新聞だってやることじゃありませんか。」と語っています。
朝日新聞は2014年8月5日、これまでの「従軍慰安婦」関連報道の検証を公表。32年前の吉田清治証言をはじめ、多くの事実関係の誤りを認めました。

②慰安婦問題日韓合意

2015年12月28日、日本政府と大韓民国政府との間で、日韓間の慰安婦問題の最終的かつ不可逆的な解決を確認しました。
日本政府は韓国政府が設立する元慰安婦を支援するための財団「和解・癒やし財団」に10億円拠出することを約束し、2016年8月31日に履行しました。
「和解・癒やし財団」は日本からの拠出金をもとに、元慰安婦には1人あたり約1億ウォン(約1千万円)、遺族には同約2千万ウォンの現金支給を行いました。

2020年、韓国総選挙において当選し国会議員となった正義連元理事長・尹美香氏に対し、元慰安婦被害者の李容洙さんが、寄付金の不透明な使い道を指摘したことから、それまでタブーとされていた正義連に対する様々な疑問が噴出しました。
正義連の前身挺対協は、日韓分断のために「日本社会党婦人部」と北朝鮮の統一戦線部傘下の「祖国統一民主主義戦線」とが共謀して、1990年11月に韓国で組織されました。
尹美香氏は元慰安婦被害者を助けるとの名目で、北朝鮮の意向に沿って「日韓分断戦略」を積極的に実践してゆき、個人的には、色々な種類の後援金と社会的名声、政治権力を得ました。

慰安婦問題はこのように日本から発生し、北朝鮮の日韓分断戦略に利用され、日韓の民族感情を取り返すことができないほどに悪化させることに成功しました。

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