(一)近現代400年史概観
歴史は勝者によって都合の良いように書き換えられており、都合の悪い真実は隠蔽され、歴史から抹殺されてきているのです。
①人種差別問題
中世において堕落してしまったキリスト教が生み出した問題の一つに人種差別問題があります。極端な解釈をすれば、白人キリスト教徒のみが神の選民であり、白人以外の異教徒たちはサタンの子、人間以下の存在だとする思想です。
アフリカの黒人、中南米のインディオ、北米のネイティブアメリカン、アジア原住民に対する人種差別は、キリスト教のみが正義であり、善であると信じてきた欧米人の信仰ゆえに生まれた差別でした。この白人至上主義ともいべき人種差別思想が、長い間多くの悲劇を生み出すことになりました。
黒人は白人に仕えるべき存在というのは、ノアの方舟の物語に出てくるものであり、聖書を根拠として白人は黒人を長い間奴隷として扱ってきました。
旧約聖書の創世記を見ると、大洪水の後、ノアの家族が方舟から降りてのち、ノアがぶどう酒を飲み、天幕の中で裸になって寝ているのを発見したハムは恥ずかしく思い、セムとヤペテを扇動して父の裸を着物で覆いました。
その行為を受けて、ノアは次のように言いました。
「カナンはのろわれよ。彼はしもべのしもべとなって、その兄弟たちに仕える」。また言った、「セムの神、主はほむべきかな、カナンはそのしもべとなれ。神はヤペテを大いならしめ、セムの天幕に彼を住まわせられるように。カナンはそのしもべとなれ」。(創世記9:25~27)
ノアの3人の息子、セム、ハム、ヤペテのうち、セムは黄色人種、カナンの父ハムは黒色人種、ヤペテは白色人種の先祖と言われています。この創世記の記述を見ると、黒人の祖カナンは僕となり、黄色人種、白色人種に仕えるべき存在となります。さらに「神はヤペテを大いならしめ、セムの天幕に彼を住まわせられる」とありますから、白人が黄色人種の主人となるかのような記述となっています。
このように聖書を根拠として、黒人は奴隷として扱われるようになっていくのです。
アフリカでの奴隷貿易は1400年代から始まり、16世紀から18世紀にかけては奴隷貿易を中心とする三角貿易によって、アフリカで安値で売買された黒人はヨーロッパ、南北アメリカに労働力として売られ、ヨーロッパに莫大な富がもたらされたのです。
②大航海時代
世界が大きく変わったのは、1492年のコロンブスによる新大陸の発見からです。
新大陸の発見から始まった大航海時代は、最初の約100年間はカトリックを信奉するスペインとポルトガルが中心となり、未開の土地の開拓が行われました。
中世暗黒時代、カトリックはお金と権力を求めるような宗教となってしまったためか、スペイン・ポルトガルが主導して行われた未開の地の開拓は、残忍極まるものとなりました。中央アメリカ、南アメリカにおいては、現地人の大量虐殺が繰り返され、また彼らが持ち込んだ感染症によっても現地の多くの人々が亡くなり、多くの文明が短期間のうちに滅亡してしまいました。生き残ったインディオたちも農奴として家畜のような扱いをされ、生きるよりも死を選ぶものも多かったという記録も残っています。
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