歴史の見方

◆歴史の見方

・勝者によってつくられる歴史
 =正義が勝つのではなく、勝ったものが正義になる=

私たちは幼い頃から、仮面ライダーや水戸黄門のような勧善懲悪のドラマを好んで見ては、正義が勝つと信じてきました。
しかし現実には正義が必ずしも勝つわけではなく、勝ったものが自分を正当化し、自分の都合の良いように歴史を改ざんし、後世に残すというのが常でした。つまり正義が勝つのではなく、勝ったものが自身の不義を覆い隠し、正義を偽り、正義が勝ったかのごとくに歴史を捏造してきたのです。

例えばアメリカ開拓史、いわゆる西部劇を思い起こすと、新大陸アメリカを発見し、西部開拓を推し進めた白人が正義かの如くに描かれてきました。
一方白人の前に立ちはだかり、牙を剥き、時には白人を襲撃しては殺戮を繰り返していたインディアンを、悪のごとくに思い込まされてきました。
しかし真実は、インディアンはアメリカ大陸の原住民であり、平和であったインディアンの生まれ故郷アメリカ大陸に、勝手に土足で踏み入っては、原住民を大量に虐殺し、領土を拡大していったのが白人の歴史でした。
「アメリカ・インディアンの歴史」によれば1492年当時100万人だったインディアンの人口が、殺戮や疫病によって急激に人口を減らし、1890年には約25万人にまで減ったと言われています。
インディアンは侵略者である白人から、命がけで自分たちの故郷を守ろうとしただけにすぎません。つまり絶対的に正義はインディアンの側にあり、白人こそが侵略者であり、原住民の大量殺戮を行った悪者だったのです。
白人は新大陸に侵略しては、強大な武力をもって原住民を駆逐し、ついにはインディアンを居留地へと強制移住させ、広大な領土を奪ってしまったのでした。
白人はそんな歴史を塗り替え、西部開拓は神から与えられた使命、マニフェスト=デスティニー(明白な天命)であるとすることで、自分たちの罪を正当化しているのです。

こんな例は枚挙にいとまがありません。
中南米においても、南米においても、アフリカにおいても、アジアにおいても白人は同じ侵略行為を繰り返しました。
それぞれの地において彼らは、イエズス会の宣教師を前面に立てては原住民たちを大量虐殺し、奴隷として売買し、農奴として扱ってきました。
彼らは自分たちの歴史を大航海時代などと言いながら、未開の世界を開拓してきた開拓史として美化し、そんな白人中心の歴史観を私たちに押し付けてきたのです。

正義が勝つのではなく、勝ったものが正義になるのが歴史であると最初に述べましたが、人類の三大英雄と言われるアレクサンダー大王、ジンギスカン、ナポレオンはいずれも自分の時代に領土を拡大し、一大帝国を築いた人物でした。
彼らを称して私たちは世界三大英雄と習いましたが、実際はいずれも大量殺戮者であり、自分たちの欲望を実現するために生涯を通じて他国を侵略し、領土を拡大していった、血にまみれた人生を送った人たちでした。
しかしそうやって拡大した領土も、自分の晩年、またはその子孫の代には領土を失い、一代の栄光も歴史と共に失われてしまいました。

このように人類の歴史は領土の拡大と喪失の繰り返しでしたが、勝者となれば英雄として歴史に栄光の名を残しますが、敗者となった場合は極悪人として歴史に名を残してしまいます。
第二次世界大戦を引き起こしたヒットラーも、アレクサンダー大王、ジンギスカン、ナポレオンら三大英雄も、やったことは同じ他国への侵略であり、それに伴う大量虐殺でした。
彼らの違いは最後に勝者として終わったか、敗者として終わったかの違いだけであり、勝者となれば英雄になり、敗者となれば極悪人として歴史に名を残すのです。
こうやって歴史は勝者に都合のよいように書き換えられ、敗者は極悪人として歴史に名を残すようになっているのです。

関連記事

  1. 思想的立場 左翼・右翼とは?

  2. 平和と軍事力

  3. (三)中国人

  4. (四)ロシア(ソ連)

  5. マスコミの偏向問題

  6. 国民性

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。

  1. 日本経済30年の停滞を招いた根本原因!?日航機123便事故

    2024.05.01

  2. 30兆~60兆円のぼろ儲け、クリントン政権の対露政策

    2024.04.10

  3. プーチンが気付いたアメリカ大統領の背後の存在

    2024.04.07

  4. イスラエルに負の歴史を創り出す捏造記事

    2024.04.06

  5. バイデン大統領と人権派政治家の本音

    2024.04.03